第二部
第三章 〜群雄割拠〜
百十四 〜会議と密談〜
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戦力分散なんて、各個撃破されるのがオチやろな」
霞の指摘に、肩を落とす麗羽。
「それだけではありません。もしかすると、徐州内部で戦いが起きる可能性も捨てきれませんよ、太守様」
「そ、そんな……」
「だから、今大尉様が徐州に赴くのは危険……。いえ、速やかに放棄するのが正しいと僕も思います」
「そういう事だ、麗羽。……疾風、頼むぞ」
「はっ! では!」
飛び出していく疾風を見送りながら、私は息を吐く。
「そんな次第だ。月らを此方に呼ばねばならぬ……。迷惑をかけるな、麗羽」
「……いえ。いずれ、華琳さんとは戦わなければならない宿命にあるのですから。それに、お師様と轡を並べて戦えるなら本望ですわ」
ふっ、言うではないか。
いきなり自分に従えと言ってきた人物と同一とは、誰も信じまい。
「漸く、二人きりになれましたわね」
「仕方あるまい。事が多過ぎるのではな」
夜更け。
麗羽に、話がしたいと私室に誘われた。
私的な事か内密な事かはわからぬが、私に否はない。
刺史としての職務がある以上、それを済ませてから……となればこの刻限になるのも当然ではあったが。
麗羽は茶の用意をさせると、侍女も下がらせた。
「私も麗羽に尋ねたい事があるのだが。麗羽の方からでも構わぬぞ?」
「いえ、それでしたら先にお伺いしますわ。わたくしの方は、長くなるかも知れませんし……」
「……わかった。では、単刀直入に尋ねる」
身を固くする麗羽。
私がこれから話す事に、思い当たる節でもあるのやも知れぬ。
「まず、この冀州だが……麗羽が問題なく治めている。この認識で良いか?」
「……問題なくかどうかは断言できませんわ。ですが、何かあれば報告を受けている筈です」
「そうであろうな。元皓や嵐がそれを隠すとも思えぬ」
「あの……。何かあったのですか、お師様?」
この様子では、知らされておらぬか。
いや、もし知らせがあれば斯様に落ち着いている筈もないな。
麗羽にはそのような腹芸は無理であろう。
「お前には話しておかねばなるまいな。実は洛陽を出て後、黄河で襲撃を受けたのだ」
「襲撃? お師様がですか?」
「そうだ。幸い、こうして五体満足で済んだが」
「な、何者ですか!……もしや、それは」
顔面蒼白になる麗羽。
「わからぬ。無人の船に爆薬を仕掛けて突っ込まれたというだけで、下手人を確かめた訳ではないのだ」
「ですが、華琳さんの自作自演という訳はありませんわ。となれば……」
「……心当たりがあるか?」
「……いえ。確たる証拠がある訳ではありませんし」
「麗羽。……わかっておるであろうが、華琳との戦は生半可なものでは済まぬ。使いは出すが、白蓮や雪蓮は恐らく
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