第二部
第三章 〜群雄割拠〜
百十四 〜会議と密談〜
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るでしょうか?……他人が、自分達の住む土地で勝手に争っていると思うかと」
麗羽の言葉に、雛里と元皓が頷いている。
「お師様に従う皆さんは、精兵揃いで将も綺羅星の如く。それがあったとしても、民の支持や支援なしに戦い続けるのは苦しい……そう思います」
「うむ。続けよ」
「そして、徐州の地理条件です。エン州とは隣接の上、ほぼ地続きで守備にはあまり向かないと聞いています。籠城も一つの手ですが……」
言葉を切り、私を見る麗羽。
そうだな、もう良かろう。
「嵐、どうか? 麗羽の分析は」
「満点、とはいかないけどまぁ合格点じゃないの? あのお嬢様が良くここまで成長したモンさ」
「相変わらず手厳しいですわね、嵐さんは。……あの、お師様?」
「概ね、麗羽の推測で間違ってはおらぬ。確かに今の私は徐州を把握した訳ではなく、備えもない。華琳とそのまま戦うのは無謀だ」
麗羽はほう、と息を吐いた。
軽く試すだけのつもりであったが、当人には殊の外緊張を強いられたのであろう。
あまり的外れな事を言い出せば別だが、そこまで麗羽は愚かではない。
「お師様。ではわたくしには何が足りないのでしょう?」
「……そうだな。麗羽の申した事は、推論の一つに過ぎぬ。もう少し、視野を広げる事だ」
「視野、ですか?」
「そうだ。着眼点は悪くないが、それだけで徐州の放棄という結論を出した訳ではないぞ?」
「…………」
「雛里。地図を」
「ひゃい!」
慌てる事はないのだが、あたふたとする雛里。
それでもどうにか地図を取り出し、机の上に広げた。
用意させた碁石を取り出し、その上に置いていく。
「まずは味方を白石とする。冀州が此処、揚州が此処……」
「では敵は黒石ですわね。華琳さん、美羽さん……」
旗幟を鮮明にしていない勢力もあるが、この際は除外だな。
少なくとも、差し迫っている戦には何の影響もない。
……そして。
「お師様、これは……」
「わかったようだな、麗羽」
「はい。……徐州は半包囲される格好ですわ」
袁術に劉表。
揚州も雪蓮がいるとは申せ、まだ統一された訳ではない。
そもそも、まだ刺史ですらない以上一大勢力とはいかぬ。
つまり、揚州に残る豪族が敵に回る可能性もあり得るという事だ。
「戦線を分けて対処は出来ないのでしょうか? お師様の麾下には一軍を率いるだけの人物が揃っているかと」
「あー、それは悪手やで」
「どういう事ですの?」
「まず、歳っちの兵だけやと数が足らへん。兵の数を指揮や策でひっくり返せるのは、相手がその程度だからや」
「……確かに、華琳さんはそんな生易しい相手ではありませんわね」
「せや。袁術や劉表かて、黄巾党とは訳が違う。そんな相手に
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