第1部
アッサラーム〜イシス
シーラとアッサラーム
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見ると、ちっと舌打ちをし、そのまま人だかりに入っていった。
な、なんなの一体?! 私は信じられないものを見た気がした。
と同時に、見知らぬ女の子に舌打ちされるのが、こんなにも憤りを感じるとは思いもしなかった。
それと、時折こっちを見る女の子が、なんであなたみたいな人がここにいるの? とでも言わんばかりの顔で睨みつけてくる。何もしていないのに、なぜ私にばかり敵意を向けてくるのだろう。私には、彼女たちの考えていることがさっぱりわからなかった。
同情を得たくてシーラの方を見たが、彼女はいつの間にか近くにいる大道具の男性と楽しくおしゃべりをしている。なんだか私だけ疎外感を感じた。
デレデレのナギが(少なくとも私にはそう見える)、照明係の女の子に握手を求められる姿が目に入ると、私は一人ため息をついた。
すると、食堂の入り口に群がっていた人垣の一部がざわついた。その向こうから、頭二つ、三つ分ほど高い位置に、ぴょこんとウサギの耳が現れたではないか。
シーラにも同じものがついているが、とどのつまり目の前に近づいてくる人もバニーガールということだ。その割には、やたら身長が高い気がする。疑念を抱きながらも、その人物が現れるのを凝視する。
「あら、ずいぶん賑やかね」
突然、低い男性の声が聞こえた。と同時に、人垣をかき分け、大きな人影が現れる。
その瞬間、私の目は点になった。
なぜなら、そこにいたのはバニーガールの格好をした屈強な大男だったからだ。しかもカツラと化粧までばっちりしており、バニースーツに隆々とした筋肉がはみ出そうになっている。
確かにバニーガールだけれど……いや、バニーガールなの?
バニーガールの意味を延々と考えていると、おしゃべりをしていたシーラがはっとした表情で声を上げた。
「アルヴィス!! 久しぶり!!」
アルヴィスと呼ばれたバニーガール(?)は、シーラの言葉に笑顔で返した。
急展開で頭が追い付かない中、あることを思い出した。
昨日ドリスさんも言っていたシーラの知り合い、その人こそがアルヴィスさんだと言うことを。
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