第1部
アッサラーム〜イシス
シーラとアッサラーム
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香草焼きをパンで挟んだその料理を頬張った瞬間、食べたことのない刺激と風味が口の中に広がった。肉の旨味と未知の香辛料が程よくマッチして、あとを引く味だ。
「なんだろ、この味……。すごく辛いけど食べ始めると止まらなくなるね」
「多分それねー、唐辛子だよ。この辺だといっぱい採れるみたいだよ♪ 辛いもの好きにはたまらないよね〜」
「う……。オレには辛すぎて食べれねぇ……。なんでお前ら平気なんだよ?」
ナギが涙目になりながら、唐辛子入りサンドイッチを少しずつ食べている。ユウリも平然としながら食べているところを見ると、ナギだけ辛い料理が苦手なようだ。
「ユウリは唐辛子は大丈夫なの?」
「……別に普通に食えるだろ、このくらい」
食べ終わったユウリが食後のお茶を飲みながら言った。
「なんだよ、なんかオレだけ子供みたいじゃんか」
「知能は子供と一緒だろ」
「今の言い方、完全にオレをバカにしてるだろ!」
いちいち横槍をいれてくるユウリに反論するナギ。そうやって反応するからユウリもそう言ってしまうのに、なぜナギは気づかないのだろう。
なんて話していると、シーラと同じバニーガールの格好をした二人組の女の子が、私たちのところにやって来た。二人とも、私とそう変わらない年なのにスタイルいいし、化粧をしているので大人っぽい。視線と雰囲気から察するに、ユウリとナギに興味があるようだ。
「すいません、勇者様とお仲間さんですか?」
面倒くさそうにちらっと一瞥し、小さく頷くユウリ。その途端、女の子達は黄色い声を上げる。
「ユウリさんて、クールでカッコいいですね!」
「そちらの銀髪の方は、お名前なんて言うんですか?」
「オレはナギ。一応盗賊やってる」
「盗賊ですか!? カッコいい〜!!」
「あのっ、あとでサインください!」
嬉しそうな悲鳴を上げながら、一人また一人と、どんどん女の子が群がっていく。そのうちまた別の女の子たちがやってきて、いつのまにか男性陣は十数人の女の子たちに囲まれて動けないでいた。
確かに二人とも、見た目はいい方だ。もともと端正な顔立ちのユウリは、クールな印象も合いまって、孤高の王子様のような雰囲気を醸し出しており、対するナギも、ユウリとは種類は異なるが、長身で切れ長の瞳に大人びた容姿、さらにはこの地域では珍しい銀の髪が、好奇心旺盛な女性の興味を抱かせている。どっちも黙っていればの話だけれど。
普段の二人を知っている人間にはわかるが、ユウリは相変わらず無愛想だし、ナギは鼻の下伸びちゃってるしで、温度差がすごい。逆にこっちがいたたまれない気分になってくる。
そんな中、一人の女の子が私の方に近づいてきた。その子は何も言わずこちらをちらっと
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