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俺様勇者と武闘家日記
第1部
アッサラーム〜イシス
シーラとアッサラーム
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か?」
「待って待って!!   呪文唱えようとするのはやめて!!」
  本気で呪文を唱えようとしたので、私は慌ててユウリの腕に思い切りしがみついた。
 冷静になってくれたのか、ユウリは即座に腕を引っ込める。
「それでですね、座長。今うち人手不足じゃないですか。今日ちょうどユウリさんたちが予定空いてるそうなんで、仕事を手伝ってもらおうかと思いまして」
「ふむ……。勇者がうちの劇団で手伝い……。めったにないチャンス……」
 ビビアンさんが事の顛末を話すと、座長の様子が一変し、なにやらぶつぶつ一人言を言い始めた。そして何かを思い付いたのか、急に跳び跳ねるようにユウリに迫った。
「手伝いなんてとんでもない!  勇者さんにはぜひともうちの公演を観て頂きたい!」
「は?」
「勇者が観に来る劇団なんて大々的に触れ込めば、倍以上の客が入ってくるぞ!   そうなりゃ一躍有名劇団の仲間入りだ!   うははは!」
「おいふざけるな、俺は……」
「座長?   またいつもの悪い癖が出てますけど?」
 にっこり笑うビビアンさんのその表情は、先程とはまるで別人かのごとく見える。座長さんは彼女の放つ黒いオーラに心当たりがあるのか、身をすくめた。
「おほん。言葉をまちがえてしまったようだね。勇者様には、我が劇団の数々のパフォーマンスを見て、過酷な旅の疲れを癒していただきたい」
 あ、当たり障りのないように言い直してる。いやもう、座長さんの本性は知ってしまったし、今さらなんだけど。
 それにユウリがこういうものに興味があるとは思えなーー。
「ひょっとして、ビビアンさんの踊りも観られるんですか?」
 今まで沈黙していたナギが、低くだがしっかりとした声で座長さんに尋ねてきた。
「あ、ああ、もちろん!   ビビアンは劇団一の人気ダンサーだからな。ファンクラブまである彼女を出演させない訳がない」
「それならば、是非拝見させていただきます!!」
 あらら、ナギの目が完全にハートマークになっている。よっぽどビビアンさんの踊りが観たいようだ。
「おいこら、何勝手に決めてるんだバカザル!」
「いや〜、勇者様たちに観ていただくなんて、光栄の極みですなあ」
 ユウリが不満を爆発させるが、満面の笑みをたたえる座長さんと、いつもと様子の違うナギに毒気を抜かれたらしく、結局しぶしぶ了承することにした。
「でしたら公演が始まるまで劇場内の食堂で食事でもどうです?   もしくは勇者様ご一行プチサイン会でも開催されるとか……」
「いや、せっかくだから最初に言った通り、公演の準備の手伝いくらいはやってやる。公演を観るのなんかはこのバカザル一人いれば十分だろ」
「あぁ……、そうです
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