第1部
アッサラーム〜イシス
シーラとアッサラーム
[3/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
、最低でもこのくらいは出さないとね?」
「ふっ。さすが、よくわかってるじゃないか。だがあとひとつ足らん。俺たちの昼飯代はどうする?」
これでも十分もらいすぎなのに、ユウリはまだ要求するつもりだ。
「もちろん後で渡すつもりよ、この劇場内お食事券4名様分を」
ビビアンさんはきらりと目を光らせ、どこからともなくお食事券4名様分を出してきた。それを見たユウリは満足そうな顔をして、当然のように受け取った。
「お前みたいな女は話が早くて助かる。お前らも少しは見習え」
そんな見下すような顔でこちらを見られても困る。ビビアンさんもあまり出会わない性格の人に出会ったからか、顔には出していないが若干戸惑ってるようだ。
「とりあえず私はこれから座長のところに行くから、あなたたちはしばらくここで待っててくれる?」
「いや、俺たちも行く。一時とはいえ、こいつを雇ったと言う人間を一度見てみたい」
そういって、ぐいっとシーラの首根っこを掴むユウリ。どういう理由なんだ。
「あたしも久しぶりに座長さんに会いた〜い♪」
嬉しそうにバタバタするシーラ。ユウリが手を離すと、ウサギのようにビビアンさんのもとへと近づいた。
「わかったわ。それじゃ行きましょうか。私はこのあと朝の踊りの稽古があるから、あとは座長に従ってね」
にっこりと微笑むと、ビビアンさんは私たちを座長さんがいるという、別の建物へと案内してくれた。劇場よりは小ぶりな大きさだが、長屋のようなその場所は、ビビアンさんたちが寝泊まりする寮、稽古場、座長さんたちの部屋が並んでいる。
建物の奥にある一回り大きな扉の前に立つと、ビビアンさんはノックして自らの名を名乗った。扉の向こうから低い男の人の声が聞こえてきたので、彼女は素早く扉を開ける。
「失礼します。座長! シーラが帰って来ましたよ!」
「んあ? シーラ?」
座長さんは机に突っ伏したまま寝ていたのか、寝ぼけ眼をこすりながらも私たちに目を留めた。
「はりゃ、夢かと思ったら、ホントにシーラじゃないか! 戻って来たのか?!」
全体的に小さくて丸っこい体型の座長さんは、シーラを見るなり目を輝かせた。
「んーん、違うよ☆ 今は魔王を倒す旅してて、途中でここに寄っただけ♪ ほら、この子が勇者のユウリちゃん」
ユウリをこの子って……。言われた本人はものすごく嫌な顔をしてシーラを睨んでいる。
「勇者!? ホントにいるの? 都市伝説とかじゃなくて!?」
座長が目を丸くしながら勇者を凝視する。その驚き方が気に入らないのか、ユウリは目を細め、利き手である左手を座長に向けた。
「だったら目の前で証拠を見せてやろう
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ