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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
最終話 私たち、彼の理想を守ります。
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はそっとラインハルトの手をアンネローゼにゆだね、触れさせた。一瞬前髪の陰に隠れて一筋の光が頬を伝ったのをラインハルトは見た。
『行きましょう、ラインハルト』
うなずいたラインハルトはアンネローゼを見た。
「姉上・・・」
ラインハルトはアンネローゼ、そしてアレーナ、キルヒアイスに視線を向けた。もうほとんど彼の瞳には力は残っていなかった。それでも最後の輝きが、あの少年時代そのものの純粋な光が彼の瞳に浮かんで、
「姉上の作ったお菓子を食べましょう。宇宙を統一したら、今度は姉上たち皆で・・・・」
ラインハルトの右手は、これまで過ごしてきた激動の人生に幕を下ろすように静かに柔らかなベッドの上に倒れたのだった。今しもヴァルハラに向かおうとしているラインハルトの魂は、この瞬間すべての苦痛から解き放たれ、イルーナに導かれ、宇宙に向けて高く飛翔し始めたのだった。子供の頃つかもうとしてつかみえなかった星を、今度は自らの手でつかむために。
不思議なことであるが、この瞬間に帝都オーディンに置いて、大規模な春一番が5分間吹きまくったのだった。だが、天候は一切悪くならず、まるですべての大気が上昇気流と化して宇宙に向けて飛翔しているかのような様相を呈していたのである。
全てが去った後、人々がいる大広間には静けさだけが漂っていた。宇宙の覇者がなくなったという重すぎる事実を人々はそれぞれ受け止めようと無言の努力を始めていたのである。
「ラインハルト・・・・。立派だったわ」
アンネローゼに手を貨して、そのラインハルトの右手と左手を交差させてやりながら、アレーナ・フォン・ランディールは最後まで涙を見せなかった。キルヒアイスはただ黙ってラインハルトの顔を見つめていた。
あけ放した窓から心地よい微風が入ってくる。全てを出し尽くした彼はひっそりと憩っているように見えた。
「ラインハルト様、ジークはラインハルトにお仕え・・・・いいえ、共に過ごすことができ本当に幸せでした」
アンネローゼはそっと彼の手を握った。
ラインハルト・フォン・ローエングラムがその波乱に満ちた生涯を終えたのは帝国暦491年3月31日、午前10時12分の事である。あたりには陽光が優しく包み、桜の花びらが舞い踊る様は、終息というよりも、新たなる旅立ちの時を現しているかのようであった。
完
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