第8章:拓かれる可能性
第244話「譲れない想い」
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―――時間は少し遡る……
「っづ……ぁあっ!?」
帝が力を奪われ、敗北した後、優奈もまた窮地に陥っていた。
事象や状況そのものに干渉する“残酷の性質”により、神達は強化される。
帝が負けた事で、その効果に拍車がかかり、さらに追い詰められていた。
「(私自身は跳ね除けても、肝心の他の神への効果が厄介過ぎる……!何とかして、相手に“逆転された”と思わせないと……!)」
優奈だけなら、その気になれば“性質”の効果を無視できるようになっていた。
だが、それを差し引いても他の神が強化されている事が大きい。
そのため、本来優奈に掛かるはずの“残酷な現実”と言う意識の弱体化を何とかして他の神に与えない限り、どうしても突破口が見えない。
「(この状況で、一人だけでも圧倒する……そうすれば、“性質”がマイナスに働くはず……でも、それが厳しい……!)」
一見強力に見える“性質”も、案外弱体化と表裏一体だ。
優輝と緋雪が初めて戦った“青の性質”も、今対峙している“残酷の性質”も、上手く認識を操作すれば弱体化に繋げられる。
そうすれば、優奈にも勝ちは見える。
……裏を返せば、そうしない限り勝ち目はない。
「ぐっ……!」
受け流し、転移で躱そうとする。
だが、それでも躱しきれずに、胸に理力の矢が突き刺さる。
僅かに体が仰け反るが、優奈は構わず目の前の攻撃を対処し続ける。
「(一瞬……それこそ、閃光のように……一瞬で駆け抜ける!!)」
理力の斬撃が、閃光が、掠ったり命中していく。
このままでは嬲り殺されるだけだと判断し、短期決戦を試みる。
一人でも数を減らせば、状況を変えられると信じて。
「ッッ……!?」
しかし、それよりも先に相手が状況を変えてきた。
帝が使っていた王の財宝による武器群が、優奈へと牙を剥く。
帝の相手をしていた神が今度は優奈をロックオンしたのだ。
「ぁぁぁあっ……!?」
出鼻を挫かれる。
一旦体勢を立て直そうとするが、その間にも傷は増えていく。
「(帝……!)」
確実に追い詰められていく。
優奈は理力を使いこなせる代わりに導王流の極致は扱えない。
その差が、優輝よりも一発逆転を狙いにくくなる原因となっていた。
「優、奈………」
そんな、徐々に追い詰められていく優奈の様子を、帝はただ見ていた。
無惨な姿となり果てた帝は、手足を動かす事も出来ない。
その気になれば再生は出来るのだが、それ以上に帝は無力だった。
魔力も、容姿も、相棒さえも、授けられただけもモノは全て奪われた。
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