第1部
アッサラーム〜イシス
商人の町
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「シーラ、あれなに?」
「あれはね、『劇場』っていうんだよ☆ 歌とか踊りとかを大勢の人が見る場所。ちょうど今始まってるみたいだねぇ」
懐かしむような目でそれを見つめながら、シーラが教えてくれた。
「シーラはあそこに行ったことがあるの?」
「行ったも何も、あたしあそこで働いてたんだよ?」
「えええっっ!?」
「そうはいってもあたしがやってたのは、踊り子さんとかじゃなくてお客さん相手の給仕係だったけどね〜♪」
「逆にその格好でする給仕以外の仕事の方が思い付かんだろ」
いつのまにか隣にいたユウリが冷静にツッコミを入れた。
「そんなことより、今は明日の準備と休息が先だ。早く今夜泊まる宿を探すぞ」
劇場を見向きもせず、一人先を行く勇者。その後ろ姿を見ていたシーラが誰に言うでもなく、小さな声で呟いた。
「ふーん。ユウリちゃんなら興味あるかなーと思ったんだけどなー」
いつも太陽のような笑顔を振りまいている彼女が、何か含みを持ったような笑みを浮かべていたのを、私は見逃さなかった。
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