第1部
アッサラーム〜イシス
商人の町
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理です!」
「ふん。まあ、これを好んで着れる子なんて、この子みたいな遊び人くらいだろうけどね」
そう言ってちらりとシーラを見る。いや、わかってるなら薦めないで欲しいです。
「えー? ミオちんなら絶対似合うと思ったのにー」
残念そうに口を尖らせるシーラ。バニーガールが町中にいるだけでも結構目立つのに、さらに水着姿の女までいたらもはや魔王退治のパーティーではない。
結局他のものも見せてもらったけれど、どれもピンと来るものがなくて、なにも買わないことにした。
新しい武器を買い、カウンターの目につく場所にある薬草や毒消し草などを必要分買い揃えたあと、ユウリはドリスさんに尋ねた。
「ところでばあさん。『魔法の鍵』を知ってるか?」
「『魔法の鍵』?」
その単語を聞いたとたん、ドリスさんの表情が変わった。
「確か何年も前に、同じようなことを聞いてきた男がいたね。確か名前は……」
「『オルテガ』だろ?」
「ああ、そうだった。確かアリアハンの出身で……。てことはあんた、その男の……」
「息子だ。俺はあいつの後を追うつもりはないが、魔王を倒すためにその鍵が必要なんだ」
「……そうかい。じゃあその英雄の息子が旅に出たってのは本当だったんだね。あの子の言うとおりだ」
「あの子?」
私は思わず口をつく。一体誰のことだろう。この場にいるシーラのことなら、わざわざ『あの子』なんて言わないだろうし。
「残念ながら、あたしは鍵の場所までは知らない。けれど、その鍵の場所を知っている人物がいる場所を教えることはできる」
『えっ!!??』
「オルテガにも同じ事を教えた。けれど、そのあと本当に手に入れたかどうかはわからない。もしかしたら、無駄足になるかもしれないけれど、いいかい?」
「そんなことをいちいち気にしてたら先に進めないだろ。いいからとっとと教えろ」
「はあ。ずいぶんせっかちな子だね。親譲りの性格なのは認めるよ」
ユウリの物言いにドリスさんは嘆息する。
すると突然、バタンと勢いよく店の入り口のドアが開かれた。
「師匠! ただいま買付から戻ってきました!! ……!?」
一斉に入り口の方を見ると、思いもよらない人物がそこにいた。
「る……ルカ!?」
「姉ちゃん!?」
なんとそこにいたのは、私の5つ下の弟、ルカだった。あまりにも突然の邂逅に、私は腰が抜けそうになった。
「こら、ルカ!! お客様がいるかもしれないんだからドア開けるときは常に気をつけなって言ってるだろ!?」
「あっ、はい!! すみませんでした!!」
ドリスさんに叱られ、委縮しただひたすら謝るわが弟。再会の感動より、なぜここにいるかという疑念の方が大きかった。
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