第1部
アッサラーム〜イシス
商人の町
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からやめとけ。別に二、三日入らなくても死にはしないだろ」
ユウリの気迫に負け、私は不承不承にうなずく。なぜそんな頑なに拒むんだろう。けどそれ以上しつこく聞いても余計なこと言われそうなのでおとなしく従うことにした。
「はあ……。じゃあ今日はこのまま寝るかあ……」
私ががっくりと肩を落としながら言うと、突然シーラが私の手を取り、こういい放った。
「じゃあ今からみんなで買い物に行こうよ!!」
「へ?!」
「おいザルウサギ!! なんでお前が仕切るんだ」
「だってあたし、前ここに住んでたんだもん。オススメのお店くらい紹介してあげないとねっ♪」
『なんだって?!』
私とナギの声が同時にこだました。ユウリも口には出さないが驚いた顔をしている。
「シーラ、アッサラームに住んでたの?」
「うん♪ ユウリちゃんたちに会うまではここにいたんだ〜。それより早く行こっ!」
「買い物ってシーラ、何か欲しいものあるの?」
「ううん。でも、アッサラームのお店は他の町よりもいーっぱいいろんなのが売ってるよ♪」
その言葉に、私はうーんと唸った。外は暑いが、この町にはいったいどういうものが売られているのか、その好奇心の方が勝った。
「見るだけでもいいんじゃね? 掘り出し物とかあるかもしれねーし行ってみようぜ」
ナギの一声に、私はさらに興味を抱き始めた。掘り出し物という言葉に反応してしまうのは、商人である父親の影響だろうか。
その横で、不機嫌そうにしているユウリが口をはさんだ。
「今はそんなことより魔法の鍵を探すほうが先だろうが」
「値切れば結構安くしてくれるよ〜?」
店に行く様子のなかったユウリだったが、シーラの一言で表情がぴたりと止まる。
「……見るだけならいいだろう」
ユウリの分かりやすい程の変わり身の早さに心の中で苦笑しつつも、私達は宿に足を運ぶ前に、シーラの言うお店に向かうことにした。
町のメインストリートから少し離れたところにある路地裏。雰囲気は怪しいが、どうやらこのあたりに店があるらしい。久々に訪れたからか、それともこの辺りの家々が密集しているせいか、シーラは時々立ち止まっては辺りをキョロキョロと見回している。
やがて行き止まりにさしかかると、人一人入れるくらいのちいさな扉が見えてきた。シーラによると、ここが目的地のようだ。
ギイ、と木製の扉を開けると同時に、錆び付いた蝶番の擦れ会う音が鳴り響く。
まず目に飛び込んだのは、薄暗い店内だった。閉めきったカーテンはお客を呼ぶ気があるのか疑問だが、見渡すとたくさんのアイテムが棚やら壁やらにところ狭しと並んでいる。正面にあるカウンターには誰もいなかった。
「や
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