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俺様勇者と武闘家日記
第1部
アッサラーム〜イシス
商人の町
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 ロマリアから南東へ移動すること半月。途中小さな町々に立ち寄りながら長い道程を経て、ここアッサラームへとやってきた。目的は、ノアニールで聞いた、『魔法の鍵』の情報である。

 十数年前、ユウリのお父さん、つまりオルテガさんは、魔王を倒す旅の途中、『魔法の鍵』を求めてアッサラームへと向かった。実際に『魔法の鍵』を手に入れたかはわからないが、ユウリによると、私たちが今持っている盗賊の鍵よりも複雑な鍵の作りの扉も開けられるらしい。その鍵が有れば、魔王を倒すための手がかりが得られるかもしれないとのことだ。

 すでにオルテガさんが魔法の鍵を手に入れてしまっている可能性もあるが、それならそれで彼の足跡をたどれるので、魔王の城に近づくチャンスでもある。

 だが、アッサラームの町に着いてすぐに、真夏かと思うようなけだるい暑さが私たちを襲う。南に進むにつれ、だんだん暖かくは感じていたのだが、アッサラーム地方に入った途端、まるでそこから境界線でも張っているのかと思うほど、気候ががらりと変わっていたのだ。

 まず、道行く人々の格好が全く違う。どちらかと言えば寒いロマリア地方とは違い、ここアッサラーム周辺は砂漠が近いせいか夕方になってもかなり暖かい。男性はシャツ一枚か上半身裸、女性でも露出の高めな薄着一枚で町中を歩いており、普段スカートすら履かない自分にとっては理解しがたい文化である。

 他の町では浮きまくってたシーラのバニーガール姿が、ここでは全く違和感がない。むしろ私たちの格好の方が間違ってるんじゃないかと言う気さえおこる。

「うわぁ、すごいにぎやかだね」

 ほとんどカザーブから出たことがなかった私にとって、アッサラームの町はあまりにも刺激的だった。

「アッサラームは世界でも有数の歓楽街だからな」

 汗だくになっている私とは対象的に、ユウリは涼しい顔で答えた。

「でもこの町は暑いね。早く宿屋に行ってお風呂に入りたいよ」

 もうお昼もとっくに過ぎたと言うのに、この炎天下は異常だ。魔王の影響なのか、あるいはもともとこの地域が特殊だからなのかわからないが、とにかく一刻も早く宿に行って疲れと共に汗を流したい。

 そう思っていると、私の独り言が聞こえたのか、通りすがりのおじさんが声を掛けた。

「あいにくこの町にはお風呂がないんだ。シャワーくらいなら大衆浴場にあるけどね」
「そうなんですか? わざわざ教えてくれてありがとうございます」

 私が軽くお礼を言うと、おじさんはこちらを見ながらにやっと笑って去っていった。

「大衆浴場かあ。それなら今夜はそこに行くしかないね」

 私がポツリと呟くと、ユウリが眉間にシワを寄せて答える。

「いや、今夜は我慢した方がいい」
「え、なんで?」
「いい
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