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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
☆なによりあたしは、異常だった。
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もいい香りがする。花のような、人を引き付ける香りが。
「お、おかしいよ…。」
「どうして?」
「だって…あたしは女だ。女同士なんだよ…!気持ちいいハズが…!」
否定しようとした、その時だ。
【抗い用のない快楽を味わったのは事実だ。精一杯の虚勢を張ってはいるが、葵は既に心中では自分の異常を認めつつあるのであった】
「…な、なに…これ?」
「あわわいけません。うっかり泰山解説祭が。」
わざとらしくそう言う紫式部。
あたしと紫式部。その間に突然現れた文字列。
これは…なんだ?
あたしの心情だとでも言うんだろうか?
けど、
「そうやってあたしの心情を勝手に書かれてたまるか!どうせこれは…キャスターの仕業でしょ!?身体が熱くなってるのだって…きっとそうだ!!」
これが泰山解説祭なのだとしたら、それは間違いなく偽物だ。
あのスキルは心情を文章化された本人には見えないもの。
もしこれが本物なのだとしたら、あたしには見えてないハズだ。
それにこの胸の高鳴りも、身体の火照りも、きっと彼女の仕業だ。
きっとそういう風になるまじないをかけたに違いない。
よく知らないけどキャスターっていうのはそういうのが得意技なんだ。
「ああ、
泰山解説祭
(
これ
)
ですか?間違いなく本物ですよ?」
「…そ、そうやって見え透いた嘘をつくな!」
「葵様に正直になっていただくため、少し改造を施したのです。」
「は…?」
改造?泰山解説祭を?
「貴女様に限り、自分自身の泰山解説祭を見えるようにしました。」
「…。」
あたしのみに?あたし自身の心の内を見えるようにした?
【焦る。このままではバレてしまう。この身体の火照りが魔術の類いによるものではなく、自分自身が興奮しているものから来ているのだとバレてしまう。】
「なっ…!?」
また表示される文字列。
違う、そんなわけあるか。
「強制的にそうさせるため、媚薬やそういった作用のまじないは"これから"するつもりだったのですが…成程、その必要はなさそうですね。」
これから…?
うそだ。
じゃああたしは
「ふ…ふざけんな…!ふざけんなよ!!」
【頭ごなしに否定するも、もうどうしようもない。心の中では完全に自分がレズだと認めているからだ。】
「違う!! あたしは異常なんかじゃ…!」
【異常異常と言いつつも、内心自分が間違っていないと思っている。彼女に身体をあずけたい。ずっと抑え込んできた欲望を解放したい。自分を、"女"にしてほしいと望んでいる。】
「うそだ…うそだうそだうそだ!!あたしは異常なんだ!間違ってるんだ!!こんなの…正しいわけ…」
「葵様。」
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