第5話 シルヴィア姉様の教育方針と、不老の解除
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通りに、魔力で地面に魔法陣を形成する。
描き始めた途端、魔力がどんどん吸収されるのを感じて、急いで魔力を供給する。
全てを描き終えるとようやく一息つける。慣れていないせいか集中と魔力の供給でそれなりに疲れる。
地面に焼き付けられた魔法陣は、風や足跡で消えること無くそこに定着している。まずは成功のようだ。
「義姉様?」
脇に控えていたエヴァが、水筒とタオルを差し出してくれる。
さすが我が義妹、と気配りに感心し、礼を言ってから受け取り喉を潤す。
同時に魔導書に目を通し、もう一度魔法陣と内容を確認をする。
今回私が初めて描いた魔法陣は、神様が魔導書に記してくれた、エヴァの不老を一時的に解除するためのものだ。
「この後はどうするの?」
「少し文字を追加した後、エヴァが魔法陣の中央に立って、私が呪文を詠唱する。そうすると魔法陣からエヴァに鎖の様なものが出る。それが呪いを示すらしいわ。」
「鎖・・・」
「痛みとかはないみたい・・・不安?」
「ううん、平気。それで?」
エヴァをつぶさに観察しても、動揺や不安は見られないので話を続ける。
「呪いが鎖として現れた後、私が直接その鎖を引きちぎる。それで不老の呪いは一時的に解ける」
「一時的?」
「追加する文字の効果よ。年単位で、どれだけ呪いを解除するか決めておくの。5と刻めば、5年間は体が成長するけど、そのあとは鎖、つまり呪いが修復され不老に戻る、ということね。」
「う〜ん、義姉様の身体も不老不死だよね?何歳にしたの?」
「私はもともと、前世が22歳だったから、そのままにしたわ。姿は変えたのだけどね。」
「じゃぁ、私は10年にする。そうしたら私の身体は20歳で不老になって、いつまでも義姉様の義妹で居られるもの」
そう言い、ニコッと微笑む彼女を、私は抱きしめずには居られなかった。
「義姉様?」
「ごめんなさい。この方法じゃ、不死の方は治せないの。エヴァの不老不死が世界の存続に関わる事、そして吸血鬼の真祖と言う種そのものが、この人間界の根幹に根ざしている以上、無理に治そうとしても世界が介入して邪魔をする・・・・・・ごめんなさい」
如何に地球5個分の力を持とうと、相手はこの世界、人間界そのもの。
正面からぶつかれば、惑星どころか銀河すら手中に収める世界にはさすがに適わない。
恐らくだが、原作開始前に主人公である薬味をどうにかしようとしても、かなり強力な介入が予想される。
物語が始まらなければ、終える事が出来ない。それでは人間界としての存在理由が満たせない。
それだけならまだしも、エヴァの呪いは吸血鬼の真祖。
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