第8章:拓かれる可能性
第243話「反撃の兆し」
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「や、めろ……!やめ、ろぉ……!!」
神夜の懇願染みた声を余所に、トドメとなる理力がそれぞれの神々に集束する。
それを止める術は神夜にはなく、力なく声を漏らすしかなかった。
「終わらせなさい」
イリスの声を合図に、その理力が振りかざされた。
―――その時、二つの光が煌めいた。
「……?」
その僅かな変化を、イリスは見逃さなかった。
洗脳された優輝も同じようで、身構えていた。
だが、それ以上に注目すべき事態が目の前に発生する。
「……何をしているのです?」
振りかざされたはずの理力。
それが、倒れた司達に到達する前に押し留められた。
「………何を……ですか。見て分かりませんか?イリス」
見れば、そこには洗脳されていたはずの祈梨とソレラの姿があった。
二人分の理力による障壁で、何とか攻撃を押し留めていた。
「まさか……洗脳を……!?」
「私の力を……そして、彼女達姉妹神の特徴を見誤りましたね!!」
残滓として体に残っていたイリスの“闇”が打ち消される。
同時に、祈梨の理力が増していく。
「“断て!いかなる干渉さえも!此よりは、我が領域とならん”!!」
言霊が放たれ、幾何学模様が祈梨と倒れた全員を覆う。
その中が一種の“領域”となり、神々の攻撃を防ぎ切る。
「これ以上、やらせはしません!」
そして、その脇からソレラによる理力の攻撃が神々へ襲い掛かる。
「なに、が……?」
それらの様子を見て、神夜は何事かと呟く。
困惑は当然だ。洗脳されていたはずの神二人が、突然味方になったのだから。
「……簡単なカラクリですよ」
その呟きに、ソレラが答える。
「貴方達の洗脳を彼が解いたように、イリスの洗脳は万能ではありません。洗脳されている状態でも、自力で洗脳を解く手段があった。……それだけの事です。祈梨さんの場合は、ですけど」
洗脳されたとしても、自我が完全に消える訳じゃない。
厳密には、洗脳直前に自我を保護する事も出来る。
祈梨はそれを行い、今ようやく正気を取り戻したのだ。
「自力、で……」
「私の場合は、神界における姉妹神の特徴を活かしました。……姉妹、または兄弟として存在する神はお互いを補い合います。片方に異常があっても、もう片方が正常に戻す効果があります。それで、私は正気を取り戻しました」
「………」
状況が状況なため、ソレラの説明は矢継ぎ早になっている。
神夜も完全には理解出来ていなかったが、とにかく正気に戻ったのは分かった。
「けど、
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