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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第31話:三つ巴の争奪戦・その3
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たら止むを得ず戦闘の中心地まで来てしまったのである。

 そこで奏と合流し、彼女と使い魔のサポートを受けながら退避しようとしたところで了子の窮地が弦十郎の目に入り、次の瞬間には彼女を救うべく飛び出していたのだった。

 とは言えそんな事情など奏達には知った事ではない。彼女は心配が混ざった抗議を弦十郎に飛ばす。

「そう言う問題じゃないんだよ!? 自分の立場忘れんなっつってんだよ!?」
                                    
 辛抱堪らず奏が弦十郎に怒鳴り声を上げていると、颯人とメデューサまでもがこの場にやってきた。戦っている内にここまで移動してしまったらしい。

「ん? いぃっ!? 何でおっちゃんがここに居るの!? おい奏ッ!?」
「アタシの所為じゃないよ!? 東野村さんと一緒に安全な場所に送ろうとしたら1人で突っ込んじゃったんだって!?」
「おっちゃん!? あんた立場考えろよ!?」
「う…………す、すまん……」

 若者2人に全く同じ理由で、しかも正論で怒られ流石の弦十郎も委縮して素直に頭を下げる。
 今回はちょっと行動が突飛だったが、本来彼は良識ある大人なのだ。ただ今回に限っては、彼にも譲れぬ道理があっただけである。

 その彼にとっての譲れぬ道理こと、了子は危険を顧みず自らの元へ馳せ参じた彼にやれやれと言う視線を向けている。

 颯人と奏、裕司に了子の4人は弦十郎に、響はクリスに意識を向けた関係でメデューサが一瞬フリーとなってしまった。

 その好機を、見逃す程彼女は迂闊でも優しくもない。

「全員仲良く、あの世に送ってやる」
〈イエス! スペシャル! アンダスタンドゥ?〉
「ッ!? しまった!?」

 突然響いた詠唱を耳にした瞬間、颯人は弾かれるようにメデューサに目を向ける。彼が見た時、メデューサは魔法陣の向こう側からこちらに右手を向けている。それが何を意味しているかを知っている颯人は、全員に警告しながら自身もその場から全力で退避した。

「全員逃げろッ!? 早くッ!!」

 ただならぬ颯人の様子に、何故と問う事もせず奏はその場を飛び退くように離れた。
 その際響が颯人の気迫に圧されて動きがもたついていたので、片腕を引っ掴んで多少強引ながらも引っ張って移動させた。

 弦十郎も同様だ。彼の場合颯人の警告だけでなく、彼自身がメデューサから脅威を感じ取り本能的に回避を選択していたのだ。
 裕司は弦十郎に首根っこ引っ掴まれてその場を離れる。

 しかし、この中でただ1人、完全に逃げ遅れてしまった者が一人居た。了子である。
 デュランダルが納められた大型のケースを持った彼女は、逃げようとする際に小さな瓦礫に足を取られてバランスを崩してしまったのだ。
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