暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第31話:三つ巴の争奪戦・その3
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ある。いや、運が無かったと言った方が良いか。

 即座に了子を自身の背後に下がらせ、ケースを足元に置く響。流石に2人のメイジを前に、逃げ切れると思う程楽観的にはなれなかった。

「……そのケースを渡せ」
「だ、駄目です! これは渡せません!」
「では、死んでもらう」
「待ってください!? 皆さん、本当にこんなことしたいんですか!?」
「我らの意思は関係ない。全てはメデューサ様の、そしてワイズマン様の望むままに」

 取り付く島もないメイジ達の様子に、響の顔が悲しそうに歪む。クリスと対峙した時とは違う、全く話が通じない疎外感の様なものに、心を痛めていたのだ。

 響の様子に了子がこれは不味いと声を掛けようとした。

 その時、新たな乱入者が現れた。

「おおぉぉぉぉぉぉっ!!」
「「ッ!?」」

 乱入してきたのはクリスだった。2本の鎖鞭を振るい2人のメイジに巻き付けると、2人纏めて遠くへ放り投げてしまった。入れ替わりに響の前に立ち塞がるクリスの姿に、響は一瞬呆気に取られるがすぐさま気を引き締める。

「く、クリスちゃん!?」
「気安く呼ぶんじゃねぇ、融合症例!」
「そんな名前じゃないよ!? 私の名前は――」

 自身の事を名前で呼んでくれないクリスに、響は訂正しようと口を開く。しかし彼女が己の名を口にするよりも、クリスが鎖鞭を振るう方が早かった。

「そのケースを寄越しやがれぇぇぇッ!!」
「くっ!?」

 振り下ろされる鎖鞭を両手でガードする。避ける事も一瞬考えたが、そうすると了子やケースに被害が及ぶ危険があった。守るべき対象を守る為には、彼女は動く訳にはいかなかったのだ。

 強烈な一撃に、響の顔が苦悶に歪む。

 だがそれも一瞬の事。
 苦痛を振り払い、響は一気にクリスに向け突撃した。

 近づかせるものかと鎖鞭を横薙ぎに振るうクリスだったが、響はそれを今度は弾き飛ばすことで対処した。

 響はそのまま一気にクリスに接近しようとする。彼女は先日の対峙から直感的に気付いていたのだ。クリスはメイジ達とは違い、話せば分かり合える相手だという事に。
 今はまだ聞いてもらえなくても、話し掛け続ければ言葉は届くと信じていた。

 故に彼女はクリスに対し、手を伸ばすことを諦めないのだ。

 そんな響の内心をクリスは知る由もなく。
 本格的にインファイトに持ち込まれると流石に不味いと判断したのか、距離を取ろうとするクリスと必死に追いすがる響と言う構図を了子はその場に佇んで見つめていた。

 その最中、チラリとケースに目をやる。了子の目は、明らかに先程まで響に向けていたものとは異なっていた。

 どこか冷たさを感じさせる冷徹な目で了子がケースを見つめていると、出し抜けに彼女
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