第二部
第三章 〜群雄割拠〜
百十三 〜冀州、再び〜
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元気がないようだが?」
「す、すみましぇん……あう」
そっと、頭を撫でてやる。
「ご、ご主人様?」
「何か、辛い事でも思い出したようだな?」
「い、いえ……」
「話してみよ。麗羽に会うまで、暫し時がある」
「…………」
雛里は躊躇っていたが、やがて顔を上げた。
「愛里ちゃん、どうしているかと」
「そうか。私が愛里と出会ったのは、この地であったな」
「……私なんかよりも強いし、元気でいるでしょうけど」
「案ずるな。星がきっと連れ帰るであろう」
「そう、ですよね……」
「愛里だけではない。桜花(士燮)も山吹(麋竺)も、皆揃う日も遠くあるまい」
「……はい」
思えば、一箇所に落ち着けぬ日々。
この冀州ですら、決して安住の地ではなかった。
半ば追われる格好で向かった交州ですら、結局は離れざるを得なくなった。
この状況では、徐州入りすら怪しまれる。
月らの安否も定かではない、早急に確かめねば。
互いに顔を合わせておらぬ者も増えてきただけではなく、皆で今後について話し合う場も必要だろう。
私一人ならば兎も角、仲間が増えた今は身軽に動く事もままならぬ。
より慎重に、次の一手を考えねばな。
「歳三アニキ、どうしたんスか?」
猪々子が、首を傾げている。
「いや。では参ろうか」
「あいよっと」
「お師様……よくぞご無事で」
型通りの挨拶を交わした後、私は麗羽の執務室に案内された。
玉座では落ち着かぬのであろう、込み入った話もある故この方が有り難い。
「久しいな。達者であったか?」
「はい。元皓さんや嵐さんに叱られながらも、何とか刺史として相応しくなろうと……」
「ほう。真名を預けたのか?」
同席している二人に目を向ける。
「太守様……いえ、助軍校尉様が託した御方でしたし。日々の努力から、それに値する人物と見ましたから」
「ま、旦那の頼みでもあったし。ボンクラだったら見捨ててやったんだけどさ、あまりに一生懸命だったし」
「……全く、変わらぬな二人共。皆、息災で何よりだ」
「それは私の台詞ですわ、お師様。……心配でしたのよ」
そう言って目を伏せる麗羽。
心なしか、些か窶れたようにも見える。
「そうっスよ。姫ったら、寝ても覚めてもアニキの事ばっか言ってたし」
「い、猪々子さん!」
「……それは、否定出来ませんね」
「だな」
「も、もう! 皆さん揃って何ですか!」
昔の私なら、斯様な緩さは赦さなかったやも知れぬが。
……慣れてしまったのか、それとも私も緩くなっただけなのか。
真っ赤になりながら手を振り回す麗羽を見ても、微笑ましい限りだ。
ここまで慕われて、悪い気がしないのも確かで
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