ターン26 復讐の最終方程式
[6/18]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
震える足。それでも精一杯にニッコリと笑い、デュエルディスクを構えていたのは、この場を離れたはずの少女だった。その後ろには小さくうずくまった、しかし目だけはこちらに向けて全てを見届けようとしているその親友の姿もある。
「申し訳ありません、お姉様」
「ほう、これは面白い。どうせこの場にいるのならば、誰から血祭りにあげようとさして変わりはしない」
「……話は後だ、今すぐサレンダーしろ!遊びじゃないんだぞ、八卦ちゃん!」
冷酷な言葉だが、そこに嘘やはったりはない。やると言ったらこの男は、本当にこんな少女相手であっても容赦なく牙を剥くだろう。それを察し、すぐにダメージを受ける前にデュエルを終了させる数少ない方法、サレンダーを命じた。
「いくらお姉様のお言葉でも、それはできません!」
しかしそんな糸巻の怒声にも、この少女としては珍しく即座に声を荒げて拒否する。大きく息を吸って少し恐怖も和らぎ落ち着いたのか、乾いた唇をゆっくりと舐める。
「……申し訳ありません、お姉様。私には、何が正しいのかなんてわかりません。ですが、何が間違っているのかはわかります。師匠や遊野さん達を傷つけて、私の大切な友人を悲しませて、何よりお姉様を苦しませて。その原因を黙って見過ごすなんて、私にはできません!」
「だからって……ええい、クソッ!」
あらん限りの呪いを込めて舌打ちし、もはや使い物にならない自らのデュエルディスクを停止させる。今の短い言葉だけでも、少女の決心の固さは容易に読み取れた。彼女がどれだけ望もうと、もはやこのデュエルは決着がつくまで終わらないだろう。腹立ちまぎれに頭から怒鳴りつけたい衝動をやっとの思いで抑え、代わりにこの状態で打てる最善の一手は何かを模索する。彼女にとって大変遺憾な話ではあるが、下手に否定の言葉を続けて少女の気を散らすのは選択肢としては最悪だろう。
結局、見ていることしかできないのだ。自分の無力さを噛みしめながら、せめてこれぐらいはと半壊したステージの後ろで小さく震えながら成り行きを見守っていた竹丸の近くへと移動する。もし攻撃の余波などが飛んできても、最悪彼女自身が盾となれるように。
「……いいか、八卦ちゃん。やっちまったもんは仕方ない、だから最後にひとつだけ言わせてもらう」
その言葉に、少女が小さく振り返る。その目にはこれから起きることへの恐怖と、彼女の言いつけを守らなかったことで見捨てられるのではないか、という質の違う恐怖が混じりあっていた。
これが終わったら今度という今度はきっちり締めておこうと決意を固めつつも、今だけは少女が無意識に求めている言葉をかけるにとどめておく。そのあたりの駆け引きは、随分と手慣れたものだ。
「八卦ちゃんの腕なら、十分勝機はある。その瞬間の読みを外すんじゃな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ