ターン26 復讐の最終方程式
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って、虚勢を張れている今の状態こそが異常なのだ。
「わーったわーった、とりあえずもう喋るなよ。おい姫さん、悪い。寿の爺さん、まだその辺にいるだろ?これもついでに病院放り込んどいてくれ」
「仕方がないのう、ひとつ貸しじゃからの。これ司会、早いところ離れるぞえ」
気分だけでも辺りに入り混じる蒸気の白と煤の黒の煙を追い払おうというのか、ひらひらと袖を振りつつ現れた笹竜胆が腰を下げ、肩に火傷まみれの手を回させてどうにか立ち上がる。酔っぱらいを介抱するかのような頼りない歩調で2人が離れていくのを少しの間見送ってから、ゆっくりと立ち上がってガンを飛ばす。
「悪いな。アタシとしたことが、ずいぶん待たせたみたいだな。さっさとやろうぜ、なあ?」
「朝顔、一本松、ロベルト、青木、夕顔、それに今の若造が遊野、だったか?これまでのすべてが所詮は茶番、デュエルポリス。つまり貴様、そしておおかたこの近くに潜んでいるだろう鼓を焼き滅ぼすまでの前座に他ならないわけだ」
「そしてアンタはその前座相手に粋がって調子乗ったカス、か。まったく、音に聞こえた『ワンショットキラー』様が今となっちゃ不意打ち専門とは、落ちぶれ過ぎて掃除のしがいもないな」
意地の悪い、皮肉たっぷりの笑顔を見せる。実はここでほんの少しだけ糸巻は、挑発を普段よりもさらに念入りに行っていた。先ほどの避難誘導中、地下の鼓から入った短い通信。
『特定した。お前も後から来い』
つまり清掃ロボのデータと目の前の男の自白から、この爆破テロ計画の本拠地を突き止めたという訳だ。おそらく今頃彼女は、地下からそこに向かっている最中だろう。この2か所を分断して同時に叩くためには、この男にはもう少しの間だけ鼓がこの近くにいると思っていてもらう必要がある。余計なことに考えが向かないよう、あえてそのヘイトを自分に向けさせたのだ。
もっとも、そこには自分の趣味が多分に交じっていることも否定しがたいのだが。ともあれ、糸巻の言葉はその期待通りの成果を上げてくれたらしい。デュエルディスクが向けられ、内蔵された新型「BV」の機構がかすかな唸りを上げる。
「「「デュエル!」」……何!?」
イレギュラーに叫んだのは、糸巻だった。この場所にいるはずの人影は、もう2人だけのはずだった。
しかし明らかに、響いた声は3つ。そうなると今のデュエルディスクの設定はタイマン専門……バトルロイヤルやタッグデュエルといった特殊な多人数形式での想定は最初からされていない状態のため、必然的に余りが生まれる。対戦相手が存在しなかったことを示すランプが点灯する自らのデュエルディスクに目を落とし、次いで第三者の声がした自らの後方に困惑した視線を向ける。今の声は、間違えるはずがない。
「八卦ちゃん……!」
青い顔、
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