ターン26 復讐の最終方程式
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ところまで明かしていた。そんならしくない物言いには笹竜胆も目を丸くして聞き入っていたが、彼女もそこで茶化すほど野暮な女ではない。
また少し間隔を置き、ちらりと肩越しに後ろを振り返る。いまだ戦闘音が断続的に聞こえてきてはいるが、それも先ほどまでに比べればだいぶ減ってきていた。決着が、いよいよ間近に迫っているのだろう。
「ま、それだってアイツにゃ全く関係ない話のはずなんだけどな」
その言葉は、口に出すことなくそっと飲み込んだ。実際その場の雰囲気で流しはしたが、今現在戦闘真っ最中のあの男、遊野清明は彼女があれこれ並べてみせた御託とは全く関係ない。アタシもズルい大人になったなあ、口の端を歪めて皮肉に笑う。利用できるものは何でも使う、つまらない人間。たとえそれが、自分自身の良心だったとしても。
「だから2人とも、もう少し離れてな。あとはアタシの時間、選手交代だ!」
糸巻がそう吠えたその時、まるで図ったかのようなタイミングで戦場でも動きがあった。全身を火傷痕だらけにし、息を切らした清明が目の輝きだけはなおも力強く、彼のもっとも信じるフェイバリットカードへと声をかける。
「これが、最後のチャンスかな。その攻撃力を越えられるのは、今しかない!霧の王でファイナルシグマに攻撃、ミスト・ストラングル!」
振りぬかれた霧の剣士の手による魔法剣の一撃が、ファイナルシグマの白熱する刃と切り結ぶ。2つの力は拮抗し、水属性の霧の王に炎属性のファイナルシグマ、その冷却と高熱の力が爆発的な量の蒸気を生み出す。視界の全てが白く塗りつぶされた中で、デュエルの勝敗を分ける声が響いた。
「残念だったな、小僧。トラップ発動、ブレイクスルー・スキル。霧の王を対象に取り、その効果をこのターンのみ無効とする」
「……!霧の王は、自分の効果で攻撃力を決めるモンスター。それが無効にされたら……!」
「攻撃力は元々の数値、0になる。そしてファイナルシグマがエクストラモンスターゾーンに存在するとき、相手モンスターとの戦闘によって発生するダメージは倍になる」
均衡が崩れる。白い蒸気を断ち切って、二振りの剣のうち片方の切っ先が覗く。その剣の纏う力は、白熱の炎。
「ぐ……!」
表情を歪め、倒れ込むのを拒否しているかのようにふらふらと数歩だけ前に出て……ひどくゆっくりと、清明がその場に崩れ落ちた。その体が地面に横たわる寸前、駆け付けた糸巻が片手で軽々と受け止める。
「よっと。ったく、無茶しやがって」
「……へーい糸巻さん、駄目ねーやっぱ、こんな慣れないことしちゃ」
さも平気そうに軽口を叩きつつ、腕の中でからからと力なく笑う清明。立ち上がろうとして失敗し、また受け止められる。無理もないだろう、そう思った。むしろこうや
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