第九話
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れからどうするんだ?」
これから?
「これからって言われたって……あんな失敗しちゃったらもう……」
「なに言ってんだよ。失敗なんて、そんなのなんとでもできるだろ?」
「そんな簡単に言うけど……」
私は泣きそうになりながら、声を絞り出します。
「一度失った信頼を取り戻すのは大変なんですよ!」
思わず大きな声。
ゴルガスさんも驚いた顔をして……。
「なんの話だ?信頼を失ったって」
え?
「だって、私は失敗して……」
「ああ、俺も力が足りなかったよ。まだまだだな」
そうじゃなくて……。
「あれは私が魔王を信用しちゃってたから……」
「ああ、俺もそうだ。まったく、すっかり騙されたよ」
だから……!
「なんで……そんな事言うんですか!」
「なんだって?」
「悪いのは私なのに!ゴルガスさん全然悪くないのに!私は勇者だからしっかりしなくちゃいけないのに、一人じゃ何にもできなくて!」
「……」
「みんなに任せっぱなしで!それで、こんなことになって……」
「……」
言いたくなかったことがつい口から出て、そしてそれが止まると沈黙が。
……。
「戸希乃《ときの》……」
何ですか。
「お前は勇者だ」
「……知ってます」
「俺は……伝説の戦士だったか?」
そんな事を言ったことがあった気もします。
でもゴルガスさん、突然何を言い出すんだろう。
「アルマとエルマは魔法使いで、マリアさんは乳母さんか」
「それがどうしたんですか」
「だからさ、お前一人でだけできるなんて、誰も思ってないんだよ」
「……それって、私なんかには誰も期待してないってことですか……」
ゴルガスさんは困ったように笑って、言います。
「そうじゃなくてな。お前が勇者でいてくれるから、俺は伝説の戦士でいられるんだぜ。なんていうのか……俺達はそれぞれするべきこと、役割ってものがあって、それらをまとめて一つのチームなんだよ。だからもしこれが失敗ならそれはチームの失敗なのだから、お前が一人で責任を感じる必要もないんだよ」
ゴルガスさんは少し考えて、続けます。
「それにな……これがいちばん大事なことなんだが、俺達はまだ失敗なんてしてないだろ?」
どこがですか!魔王たちに騙されてポータルを閉じるどころか魔界との壁を消してしまったんですよ。
そんな言葉を私はグッと飲み込みます。
「どういう意味ですか」
ゴルガスさんは優しく笑って言います。
「まだ世界は滅びていないし、魔王軍はここまで攻めてきていない。だったらできることがある筈さ」
「そんなの、楽天的
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