傷つくことより怖いこと
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に対する悪意なんて感じなかった。むしろわたしの身の上を聞いて心配してくれたりもしたから。おどけた態度を取るのは……多分、自分の本当の目的を悟られたくなかったからだと思う。
──だからこそ、自分が行動を起こすより先にわたしに知られてしまったのはショックなはずだ。
「嘘だ。どの姉さんの差し金が知らないけど。君が偽物なんだろ」
「だったらなんでさっき話してたわたしは追いかけてこないの? 話してた相手をいきなり連れ去られて呑気に手を振るような女に見える?」
【一応、ラディが脱出する前にサフィール君に来られると困りましたので。もう一人の怪盗に変装してもらったんですよ。スズも変装した怪盗やサフィール君の会話に相づちを打ちつつラディの様子を見て、大変でした】
スズの補足は決定的だった。サフィールがうつむき、強く拳を握る。
「何しに来たのさ。オレは君を捕まえるだけじゃなくて……ドラマの中の強盗みたいに君を人質にしようとしてたんだよ?」
「あなたに協力してもらいに来た」
「……は?」
「ルビアやチュニンと戦って、わたし一人の力じゃシャトレーヌやキュービさんに勝つのは難しいってわかった。だから、サフィールにも協力してほしい」
「……なんで、オレが」
「その代わりに、キュービと会わせてあげる。一対一で話し合える状況を作ってみせる。貴方はわたしと似てるから、協力すればきっとお互いの目的が果たせる。……どう?」
彼の肩が震える。上手く説明できているかどうか不安はある。でも、彼が納得できるまで話すつもりだ。
「君とオレが、似てるだって……? 冗談はやめてくれよ!」
「前話したよね。わたしは昔姉さん達に虐められてて、怪盗やスズが助けてくれるまでとっても辛かったって」
「それがなんだっていうのさ! 今の君には助けてくれる人やポケモンがいくらでもいるじゃないか。スズさんに手持ちのポケモン、もう一人の怪盗に護神。さすがアローラの怪盗、何でも無理が通る! キュービだって、最初から君に盗ませる気なんじゃないの?」
「……! それは」
「今のでわかったよ。君はオレが可哀想だと思ったんだろ。ルビア姉さんが何をしたのか知らないけど、君は今回招かれたのが八百長だと知った。オレとのまともな勝負なんて成立しない。だからオレのために、協力を申し出たんだ。別にオレの力なんて必要ないじゃないか。君たち全員グルなんだから! 人を馬鹿にするのもいい加減にしてくれよ!」
わたしの動揺を見抜いたサフィールがまくし立てる。もしかしたら最初会ったときから八百長の可能性は考えていたのかもしれない。
だけど、少しだけ間違ってる。
「馬鹿になんかしてない。あなたの言うとおり、今回のことは八百長になる。だけどそれが許せない。わたしはそんなつもりじゃなかった
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