第1部
カザーブ〜ノアニール
夢みるルビー
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
マディンさんの息子とエルフの女王の娘を探す手がかりを見つけるため、ノアニールの近くの洞窟に向かった私たち。
洞窟の中はひんやりとしていて、不思議と力がみなぎるのを感じた。魔物も現れたが、どういうわけかこの洞窟にいるときの方が戦いやすい。
自分の体の変化を皆に伝えたら、やっぱり同じように思っていたようだ。
「もともとここが聖なる場所だからなのか、エルフの里に近いからなのかわからないが、確かに不思議な力を感じるな」
「見て! ここの湧き水すっごいキレイだよ!」
シーラが指差す通り、岩壁の隙間から流れる湧き水は透き通っているどころか、ぼんやり青く光っているようにさえ見える。ためしに両手で掬って飲んでみると、今までの疲労感が一気に消え去って行くのを感じた。
「すごい! このお水飲んだら疲れが取れたよ!」
私の言葉に、皆が興味津々で湧き水を飲もうと集まってきた。水を口に含むと、皆私と同じような感想を漏らした。
「もしかしたら源泉を辿って行けば何か手がかりが見つかるかも知れないな」
ユウリがポツリとそういうと、まるで地図でも見て歩いてるのかと思うほど迷いなく、一本の細い通路へ進んでいってしまった。
「まっ、待ってよユウリ!」
慌てて追いかける私たち。もうすっかりこのシチュエーションが定番になってしまっている。
そんなこんなで奥へと進んでは見たが、手がかりらしきものは今のところ何も見つかってはいない。ついには行き止まりの場所まで来てしまった。行き止まりと言っても岩壁に囲まれてる訳ではなく、湖の上に立っているような感覚であり、おそらくここが源泉かと思われる。
鍾乳石から流れ落ちる水滴の音しか聞こえないこの場所に私たち以外の人間がいるはずもなく、一同に重い沈黙が続く中、突然ナギが大声で叫んだ。
「おい! こっちに何かあるぞ!」
ナギが指差した方を見ると、地面に何やら光る物体が、半分ほど顔を出しながら埋め込まれていた。
それに近づいてよく見ると、それは血のように真っ赤な宝石だった。宝石の横には手で持てるくらいの大きさの瓶も埋まっており、中には手紙が入っている。
私はなんでこんなところにあるのだろう、そう思いながらも、あまりにも美しいその宝石に目が離せないでいた。
ずっとその赤い世界を、見つめていても、飽きないほど、魅力的で……。
赤い景色が……、光って……、まるで……。
「…………!! …………ぃ!! …………だ!!」
何も……、聞こ……えな……い……。せか……が……、と……、って…………。
「ミオ!!」
がしっ!!っと後ろから肩を掴まれ、
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ