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俺様勇者と武闘家日記
第1部
カザーブ〜ノアニール
夢みるルビー
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と見て回ってた。その間シーラは酒もらいにずっとじいさんの家にいたみたいだけどな。そんで、村の人と話してるとき、ちょっと気になる情報を掴んだんだ」
「気になる情報?」
 そう言うとナギは、ユウリの顔をちらっと見て、意味ありげに含み笑いをした。
「ああ。多分勇者サマも知らない情報だと思うぜ。何しろ十数年前の話だからな」
「……いいからさっさと教えろ」
 ユウリの言葉に、ナギは小さく首を振る。
「タダじゃあ教えられねーなー。そうだな、1000ゴールドくれたら話してやるよ」
「ベギラマ」
「おーっと!  そんな何回も食らってたまるか!」
 ひらりとその場から飛び退くナギ。だが、着地点に向かってユウリが再び手をかざした。
「メラ」
「うわわわわ!?」
 ナギの足が着く前に小さな火柱が現れ、炎が彼を包み込んだ。割とショッキングな出来事なのだが、いつも通り魔力を制御しているためか、大事には至らない。
「で、情報ってのは一体何だ?」
事も無げに再びナギに質問をするユウリ。だがナギはしばらく喋ることが出来ない。代わりにシーラが一緒に聞いてたらしく教えてくれた。
「んーとね、ユウリちゃんのお父さんが『魔法の鍵』ってのを手にいれるために、アッサラームに行っちゃったんだって」
「親父が!?」
 と言うことは、十数年前にユウリのお父さん……オルテガさんがここに来て、ここからアッサラームに向かったってこと?  そもそも『魔法の鍵』って何?
「古い文献によると『魔法の鍵』は、『盗賊の鍵』よりも複雑で魔法のかかった扉なんかも開けられるようになる鍵だ」
  私の心を読んだのか、それとも顔に書いてあったのだろうか。ユウリが的確に私の疑問を解決してくれた。
「でも、なんでオルテガさんはその鍵を手にいれようとしたんだろう?  結局鍵は手にいれたのかな?」
「さあな。とりあえず、アッサラームまで行ってみないとわからない。ここから徒歩で行くには遠すぎるし、ひとまずルーラでロマリアまで戻るぞ」
「あ!   ロマリア行くなら宿入ろうよ!   あたしシャワー浴びたい!」
  シーラの提案に満場一致で賛成した私たちは、再びロマリアに戻ることにした。
 宿のおかみさんにノアニールのことを報告すると、おかみさんはほっと胸を撫で下ろし、私たちを快く泊めてくれた。
 その夜、シャワーを浴び終えたシーラがまた格闘場に行こうとしたのを私が必死に止めたのは余談である。

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