第1部
カザーブ〜ノアニール
エルフの里
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、噂をすればなんとやら。息切れしながらユウリが戻ってきたではないか。
「ユウリ、どこ行ってたの?」
「村の周辺を探っていた。何か手がかりがないかと思ってな」
「手がかりって?」
「本っ当にバカだなお前は。駆け落ちした二人の足取りに決まってるだろうが」
「えーっ! ユウリ一人で探してたの!? 言ってくれれば私も手伝ったのに」
「普通の人間なら言わずとも察するだろ。俺に従い黙って手伝うのが当然だろうが」
そういうものかなあ? うーん、こういうところはやっぱりいつものユウリだ。
「で、結局手がかりはあったのか?」
ナギの問いに、ユウリは首を横に振る。
「手がかりはないが、この近くに人が入れそうな洞窟があった。何もないよりはましだからな。明日その洞窟に行くぞ」
洞窟かあ。そんなところに二人がいるとは思えないけど、でも何もしないよりはいいよね。
「うん、わかった。明日そこに行ってみよう」
「まー、勇者様がそう言うんなら仕方ねーな。オレもエルフたちにあんな言い方されて黙ってらんねーし、協力するぜ」
「あたしもおじいちゃんにお酒のお礼しなきゃなんないし、頑張るー!」
やっぱり皆思うことは同じようだ。私も女王様や他のエルフの考えには腹に据えかねていた。
みんなそれぞれ決意をしたところで、今日のところはこれでお開きになり、マディンさんの家の二階で休ませてもらうことにした。
さすがに一部屋に四人は狭かったが、長旅でずっと野宿だった私たちにとっては、屋根のある場所で寝られるだけでも贅沢だ。
ただひとつ不満があるとしたら、ナギの寝相の悪さだ。野宿のときも一人だけとんでもないところに寝転がってることがしょっちゅうあったが、それは室内でも例外ではない。今回も寝てる間壁に激突したり、足で私の顔を蹴られたりされて、何度も起こされた。
特に被害を被ったのはユウリで、朝起きたら髪はボサボサで、額には青アザまでついている。まあ、すぐに回復呪文で治ったみたいだけど、あのあと何度もナギにベギラマを放っていたのは私も少し同感だ。
ともあれ、一晩休んで体力も回復した私たちは(一人だけダメージを食らってはいるが)、食事もそこそこに洞窟へと向かうことにした。
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