第1部
カザーブ〜ノアニール
エルフの里
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いである。それを右側のエルフが静かに制した。
「女王様は今気分が優れないそうです。これ以上あなた方が側にいればお体を悪くする危険性もございます。どうかお引き取りを」
そう言うと、彼女は手にしている護衛用の槍をゆっくりとこちらに傾けた。
見目麗しい三人のエルフに門前払いされ、なす術もない私たち。
一見すると冷静な表情をしているが、ずっと一緒に旅をしてきた私たちにはわかる。ユウリが今までにないくらい腹を立てているのだと言うことを。けれどプライドの高い彼は、ここで暴言を吐いたり暴れるようなことはしないだろう。ただ静かな口調からは、明らかに怒気を含んでいるように感じる。
「ならば最後に一つだけ。娘さんが行方不明になったあと、ご自分で探されたりはしなかったのですか?」
そういうと、攻撃的な目を女王様に向ける。
すると、今までこちらを全く見ようとしなかった女王様の目がかすかに光った。
「あなた方に……。何がわかると言うのでしょうか」
その声は絶望に満ちていた。そして、冒頭へと戻る。
「あなた方人間にお話しすることは何もありません。どうかお引き取り下さい」
ユウリもこれ以上は何も言えなかった。仕方なく私たちはエルフの里を後にし、老人の待つノアニールの村へと戻った。
「しっかしどういうつもりなんだろうな、エルフの女王様は」
ノアニールに戻ったあと、マディンさんの家にお邪魔させてもらうことにした私たちは、彼のご厚意により、ここで一泊することになった。
夕食は、村の途中の森にいた獣や魔物の肉を倒して剥ぎ取り、マディンさんと皆で食べた。
何しろマディンさんの家には必要最低限の食糧しかないのだ。急に四人も泊めさせてもらう上、食事までごちそうになるわけにはいかない。なので自分達で食べる分は自分達で調達するしかなかった。
その後リビングで明日の予定を話し合い、一息ついたところでナギは眉をひそめて言った。
ちなみにマディンさんは日が沈むと同時に休んでしまった。十年以上も一人で自給自足の生活しているため、このサイクルは崩したくないらしい。
「う〜ん、女王様の気持ちもわからなくはないけど、だからって十二年も呪いをかけ続けてるなんて、ひどいと思う」
「エルフって、寿命が長い分、時間の感じ方も違うって本に書いてあったよ☆」
「へえ、そうなんだ……って、なんでシーラお酒持ってんの?!」
「えへへ、おじーちゃん、お酒飲まないからってあたしにくれたのー!」
いやいや、あげると言われたからってそんな簡単にもらっちゃっていいの? ユウリはユウリで村に戻るなり一人でどっかに行っちゃうし。
なんて考えてたら
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