越冬のダイヤモンド
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ネルギー資源不足。その中心となる物質……。
「魔導結晶……それがなぜ、あんな所に?」
通路を走りながら色々話していたら、途中でガラス張りの海底トンネルに入り、そのガラスの外の海底で私達はこの……こぶし大程度の小ささだが赤く発光する結晶が所々に生えている光景を目の当たりにした。量だけで言えば大したことないが、これはこの世界に魔導結晶が自生していることを証明していた。
「あれ、本物?」
「うん、ずっとニダヴェリールで見てきた私が見間違えるわけがない。色が違うのは世界が違うからか、作られた過程が違うからか……いや、そんな事よりどうしてこんな海の底で魔導結晶が生成されている? ミッドチルダの魔導結晶はもう採りつくしたからこそ、ニダヴェリールや他の世界から奪ってくるしかなかったはずなのに……」
そう、ミッドで調達できるならニダヴェリールの大地があそこまで凌辱される必要は無かった。必要なのに枯渇していた資源だから、管理世界の人は我先にと奪いつくした。それがここで復活したとなれば、何が起こるか想像に難くない。確実に彼らは掘りつくすだろう。ここで無くなっても他の場所にはまだあると思い込み、それこそミッドチルダという星の隅々、地下どころか内部まで探し出し……あ。
「そうか……ファーヴニルだ……。ミッドチルダにファーヴニルが封印されたから、星が封印を守ろうとして魔導結晶が生み出されるようになった……!」
『ファーヴニルが封印された土地では魔導結晶が生成されるとなれば、封印を維持する力の価値は恐ろしいことになります』
「ん、管理局や管理世界の人間にそれを知られてしまえば次元世界のどこにいても、シャロンは狙われる。この世界に……安住の地は無い」
「元よりそれがわかってるからこそ、世紀末世界に帰ろうとしてるんだけどね。でも……もし、それが叶わなかった場合、私は……」
心が絶望に濡れ、この身を闇に染め上げることも、厭わなくなるだろう。そうなったら私はもう私じゃなくなる。いるのは別の何かだ。
『(やはり……危ういですね。もし……シャロンに最悪の結果が訪れそうになったら、私は冥府の炎王としての力を振るわねばならないでしょう。その力を向ける相手が、ヒトにとっての真の敵であればよいのですが……)』
「ん……封印するからシャロンが狙われるのなら、いっそ倒した方が良いんじゃないか? その方が後腐れなくスッキリできるだろうし」
「確かにその通りなんだけど、生命の原種である絶対存在には生も死も無いから倒せない。世紀末世界の人達でさえ、封印するしか対処法がない化け物なんだ」
『生も死も無い……原種……? それってメソポタミア神話のティアマト神みたいなものですか?』
「言われてみれば、生命の母とか色ん
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