越冬のダイヤモンド
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代リスペクトしてます?』
「リスペクトしてるつもりはないけどね。でも指揮官としての目標は、柳生但馬守宗矩さんと松平信綱さんだから……これってリスペクトしてると言えるのかなぁ」
地球の日本、江戸時代・徳川三代将軍、徳川家光。この時代にいた傑物で“鼎の脚”と呼ばれる方々。一応、春日局さんも忘れてはいないけど、今回の話には関係ないので置いておく。
『指揮官の目標、ですか?』
「うん。特に柳生但馬守宗矩さんは二つの意味で目標にしてる」
『二つ?』
「一つは今言ったように指揮官、宰相として大局を見渡せる能力。もう一つは……心の平定」
「心の平定?」
「私の中には、気を抜けば私の精神を一瞬で飲み込むほどの強い負の感情……憎しみ、トラウマ、そして報復心がある。平時は世話になってきた人達のおかげで抑え込めているけど、それが何かの拍子で発露した場合、怒り狂って暴走したり、冷静さを失ったり、恐怖で動けなくなったり、自棄を起こすなどの異常をきたすと思う」
「ん……マスコミに迫られた時、シャロンはトラウマが発露して動けなくなっていた。その異常の片鱗は既に見られていたか」
「緊急時や戦闘中にそんなことが起きれば、きっと取り返しのつかないことが起こる。でも報復心とは一生付き合うものだから、せめて負の感情に飲まれないようにはしたい。だから精神を鍛えるにはどうすれば良いかを考えた結果、今まで読んだ本から“兵法家伝書”にたどり着いた。あの本には今の私に……ヒトが成長するために必要な要素が全て込められてると思う」
元々二刀流使いの祖として学ぶことがあると思って宮本武蔵著“五輪書”を読み、そこから同じ時代にいた剣聖、柳生宗矩の著書“兵法家伝書”に興味を示したのが読んだきっかけだった。二刀流がどういう形で有利になるかは状況にもよるので何とも言えないが、一方であの本には剣以外の視点でもためになる事ばかり書いてあった。流れで二刀流を使っていたが私に合ってたのは……柳生さんの考え方だった。
平常心をもって一切のことを為す人。これを名人と言うなり。報復心に抗う方法は、偉人の剣聖から学んだ。それだけの話だ。
「偉人の在り様を尊び、自らを高みに至らすための礎とする……。それが本来の歴史を学ぶ意義……彼らの意志を受け取ることなのに、今の時代でオリヴィエは……」
ケイオスが今思い返しているのは聖王、オリヴィエ・ゼーゲブレヒトのことだろう。ケイオスは彼女を殺めたけど、それが本意ではなかったのはわかっている。彼女が死ななければならなかったのは、彼一人の責任じゃない。時代が……彼にそうさせたんだ。
そして、時代と言えばもう一つ……要となる物がある。次元世界じゃ4年前のファーヴニルの目覚め、ニダヴェリールの消滅。それに伴って起きたエ
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