第二部
第三章 〜群雄割拠〜
百十二 〜再会する者、迷う者〜
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司が今の私を見たら、果たしてどんな反応を見せるのか。
数日後。
指定された地にあった森に身を潜めながら、ひたすら疾風を待った。
幸い、華琳にはまだ気づかれた様子もない。
徐州入りしている月や朱里らとの繋ぎもつけたいところだが、今はそれも叶わぬ。
いきなり華琳の軍勢に攻め込まれる事はまずあるまいが、何らかの干渉をされる恐れはある。
民や兵を落ち着かせるという意味で、印綬を持つ私がこうしている事は決して望ましくない。
だが、このまま麗羽と上手く合流できたとしてもその後はどうなるか?
麗羽は私の事を師と仰いでくれてはいるが、私の指示でその将兵を思いのままに動かせる訳ではない。
つまり、状況次第では私が徐州に入れぬ事も想定せねばなるまい。
……思えば、此処までが順風満帆過ぎたのやも知れぬ。
その反動が今だと思えば、何とも痛烈な皮肉ではある。
「……?」
眠っていた恋が、不意に目を覚ました。
「如何した?」
「……誰か来る」
「疾風ではないのか?」
「……(フルフル)」
周囲に村はなく、漁師や猟師がやってくる事もまず考えられぬ場所。
旅人が迷い込んだ可能性も皆無ではなかろうが、この緊迫した中を歩き回る度胸があれば最早常人ではあるまい。
「味方やない……つまり」
「敵なのだ!」
霞と鈴々も身構えた。
私も兼定を抜き、相手が姿を現すのを待つ。
……と。
楽進が、ゆっくりと歩き出した。
「まさか……そんな」
そう呟きながら。
「楽進。如何した?」
「……この気配。間違いない」
私の声も聞こえておらぬのか。
あまりにも無防備だ、放ってはおけぬ。
そう思いながら、近づく足音に耳を澄ませた。
……そして、その時がやって来た。
「……やっと見つけたで、凪」
「探したの!」
「真桜……沙和……」
互いを真名で呼び合うのだ、親しい間柄なのであろう。
だが、敵意や殺意は感じられぬ。
その証拠に、恋は武器を下ろしていた。
「私を捕らえに来たんだな?」
「……まぁ、命令はされたのは確かや」
「……でもね、凪ちゃん。沙和は、凪ちゃんと戦いたくないの」
相手は二人だけ、兵は連れておらぬようだ。
となれば、説得に参ったのであろう。
「歳っち。どないする?」
霞が、二人から目を離さずに尋ねてきた。
恐らく、この顔触れであれば戦っても後れを取る事はなかろう。
が、楽進がどう動くかがわからぬ。
見守るべきか……。
思案を巡らせていると、二人が得物を手放した。
そして、その場に膝をついた。
「土方様。ウチは李典です」
「沙和は于禁なのー」
「……今の華琳
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