第二部
第三章 〜群雄割拠〜
百十二 〜再会する者、迷う者〜
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「私も同意見だ」
「それに、今華琳さんに独力で対抗できるのは麗羽さんだけです。危険が皆無とは言いませんが、頼るならば最上かと」
「……なるほどな」
「そして、襲われた事は当然曹操さんもご存知ですから逆に裏をかけるというのもあります」
雛里の意見に異を唱える者はおらぬか。
上策とは申したが、唯一の選択肢ではあるまいか。
「ウチも賛成や。……けどなぁ」
「霞さん、何かご懸念でも?」
「雪蓮のところもそうやけど、河北の情勢がわからんまま行くのは危険ちゃうか?」
「……そうですね。実はそこが気がかりではあるんですが」
「では、私が行って確かめて参りましょう」
と。
誰もおらぬ場所に、聞き慣れた声と共に姿を見せた者。
「疾風(徐晃)なのだ!」
「暫くぶり……になるのかな、鈴々。歳三殿、只今戻りました」
「ご苦労。……その様子では、引き返してきたのだな?」
「はっ……。独断での行動、罰は如何ようにもお受けします」
頭を下げる疾風。
「いや、桜花(士燮)や愛里(徐庶)らが気がかりでないと申せば嘘になる。だが、星や周泰らは引き続き動いているのであろう?」
「はい。……虫の知らせと言いますか、悪い予感がしまして私だけが戻りました」
「いや、良く戻ってくれた。一休みしたら、麗羽のところに向かって欲しい」
「いえ、お気遣いは無用にて。黄河近くのこの辺りにてお待ち下さい」
疾風が地図で示したのは、近くに村などのない人里離れた場所。
一時的に身を潜めるには悪くなかろう。
「それから、これを」
と、背負っていた袋を地面に置いた。
「取り急ぎ、手に入る食糧を集めておきました。十分な量ではないでしょうが、これで凌いで下さい」
「……疾風」
「お、おい! 力を入れ過ぎだ恋! 骨が砕ける!」
嬉しさの余り、恋が疾風を抱き締めた。
そして、思わず悲鳴を上げる疾風。
それを見ていた兵らから、笑い声が上がる。
ふふ、こうして笑えるのは久しぶりな気がするな。
「疾風」
「はっ」
「済まぬな、お前には苦労ばかりかける」
「と、歳三殿……。お止め下さい、これが私の職分ですから」
「いや、それだけでは済まぬ程助かっているのは事実だ。違うか、雛里?」
「あわわわ……。い、いえ。ご主人様が仰せの通りです」
「せやせや。歳っちの口癖やないけど、情報は大切や。ウチには真似できへん」
「止せ、雛里に霞まで。……な、何だかこそばゆい」
「にゃははは、照れてるのだ」
赤くなり、目を逸らす疾風。
斯様なやり取りがごく当たり前に出来る日々を早く取り戻したいものだな。
……新選組時代では、このような事を考えるようになるとは思いもしなかった。
近藤さんや総
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