第28話『命を救う為に!虚影の幻姫の戦略〜そして挑戦へ!』
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凱とヴォジャノーイ。
二人の戦いは、銀閃の長剣アリファールの折れた凱の圧倒的不利から始まる。
――――ヒュン!!
戦闘開始となるや、ヴォジャノーイは口を開き、その『長舌』を伸ばし、毒々しい紫色の酸液の唾を飛ばす。
同時に、伸ばした舌で『刺突』を繰り出す。
酸液の唾をかわせば、鋼をも切り裂く舌をよけきれず、酸液の唾をうければ、ひるんだすきに胴体を『舌』で串刺しにされる。
蛙の魔物ヴォジャノーイは、外見も口調もちゃらけた『人間かぶれ』に見えるが、魔王フェリックスの特攻部隊に選抜されるほどの実力者である。
相手の剣が折れているからと言って、決して油断はしない。
ましてや、相手はあの『勇者』であり『王』である最強の獅子王なのだから。
凱は納刀されたままの状態で、飛ばされた酸液の唾を薙ぎ払う。
だが、凱に酸液の唾を払われるのは想定内だ。
本当の狙いは――――――これだ。
「もらった!」
無防備になった胴体に、ヴォジャノーイの舌が突き刺さる!!
――直前、凱の姿が視界から消えた。
――――ヒュン!!
風を切る音。魔物の攻撃と勇者の回避が織り成す効果音。
失態!魔物は勇者に損傷を与えられない!
「何だと!?」
衝撃を押し殺しきれず、目を見開く魔物の表情。
例え敵対者が魔物だろうと人間だろうと、凱の戦い方は虚影の如き変幻自在。銀閃の如き迅速そのもの。むしろ、こちらの攻撃力を引き立てるために、蛙の魔物を懐まで引き込んだのだ。
伸びきった『舌』は、ほんの一瞬だが硬直する。魔物といえど、物質のしがらみがある以上、筋肉収縮の力学には逆らえない。そのまま凱は一気にヴォジャノーイを巻き込むように反転し、がら空きとなったヴォジャノーイの背中に獅子の舞と竜の一撃を喰らわせた。
「がっ――――!!」
相手の突進力に、遠心力を最大に生かした一撃をお見舞いする。
独立交易自由都市・前線騎士団の長剣取得必須技術。
その名は『銀閃殺法・海竜閃・泡飛沫』
魔物は派手に吹き飛び、地面に叩きつけられ、激しい土煙をあげる。
凱の持つアリファールの刃は、鋼鉄よりも堅い竜の鱗さえも容易に切り裂ける切れ味を持つ。
たとえ、切れ味を持たぬアリファールの鞘といえ、目にも止まらぬほどのすさまじい剣速でたたきつけられれば、いかに魔物とはいえ、昏倒はまぬがれまい。
「ふ〜ん?やっぱり『銃』は強いなぁ〜一応『――』を持ってきていて正解だったよ」
――ふらり。
だが、魔物は立ち上がる。
そして勇者は訝しむ。
(気のせいか……アリファールが一瞬力を奪われたような気がしたが)
そのうえ、魔物に銀
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