暁 〜小説投稿サイト〜
魔弾の王と戦姫〜獅子と黒竜の輪廻曲〜
第28話『命を救う為に!虚影の幻姫の戦略〜そして挑戦へ!』
[3/11]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
酷の調べ!魔笛散弾射!

(いびつ)な形の紫弾が無数に凱へと襲い掛かる!

しかし、勇者は取り乱すことなく、魔物の奏でる死の音譜を、竜具たる指揮剣(タクト)で打ち落としていく!

――それはさながら、演奏を構成する音楽三大理論(トリニティシンフォニー)律動(リズム)旋律(メロディ)歌音(ハーモニー)を体現する音ゲ―のように。

次々と風の鞘にて砕かれる氷の散弾!刹那、切ない風切り音が『きらり』と鳴る!

破砕した氷を粉雪のカーテンにし、この隙に魔物は勇者への接近を果たしていた!

短期決戦を決行すべく、強引に白兵戦に持ち込む。

凱の推測したところ、この魔物、ただ武器を振るうだけじゃない。振り下ろし、横凪ぎ、切り返し、どれをとっても一流である。

氷の魔剣と己の能力を組み合わせて奇抜な攻撃を繰り出すあたり、もし、魔物が本気で修行に励んだら、人間以上の魔剣使いになれるかもしれない。

だが――――

それは一般兵という尺度で図った場合の話である。

「魔物が魔剣をもってしても、この程度か?」

挑発気味にも聞こえる、勇者の感想。

そこの魔物には悪いが、残念ながら勇者を仕留めるには至らない。

(反撃させてもらうぜ!ヴォジャノーイ!)

せいぜい武器を振り回すだけで、凱の動きをとらえることは能わない。

素早く、冷猛なる魔剣の刃をかいくぐると、またしても凱は竜具の鞘で打ち上げるような一撃を繰り出す。

瞬閃の思考。返すアリファールの鞘。地から天へ飛翔せし銀閃の一撃。

――銀閃殺法・飛竜閃(ヴィーフリンガ―)!!

銀閃殺法。竜具が封じられた際、もしくは竜の戦闘力を有する事態に対処すべく、ヴィッサリオンが考案した竜舞(ヴェーラ)。それすなわち百人の兵士が刃を繰り出してこようが、それらを払い、蹴散らし、圧倒する力を持つということ。

これが鞘ではなく刃であれば、ヴォジャノーイの半身は下から左右二つに分かたれただろう。

「――――がはぁ!!」

またしても吹き飛ばされ、苦悶の声を荒げる魔物。その沈黙を確認するや、囚われの赤子へ振り返る。

「待たせたな、コーネリアス。すぐにセシリーお母さんの所へ返してやるからな」

「だぁ♪」

にぱーっと笑うコーネリアス。防衛本能に忠実な赤子は、凱の(やわ)らぐ安堵の声と表情故に、にこやかに笑う。やはり、子供にはひまわりのような笑顔が一番似合う。
木に結わえられた赤子の元に向かおうとする凱。

しかし――

その足はピタリと止まる。

「う〜ん、やっぱりこの姿じゃ手も足もでないや」

ふらふらと。またしてもヴォジャノーイは立ち上がった。

(魔物の耐久力を推し量ったうえでの一撃だったのに……ものと
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ