第28話『命を救う為に!虚影の幻姫の戦略〜そして挑戦へ!』
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酷の調べ!魔笛散弾射!
歪な形の紫弾が無数に凱へと襲い掛かる!
しかし、勇者は取り乱すことなく、魔物の奏でる死の音譜を、竜具たる指揮剣で打ち落としていく!
――それはさながら、演奏を構成する音楽三大理論の律動・旋律・歌音を体現する音ゲ―のように。
次々と風の鞘にて砕かれる氷の散弾!刹那、切ない風切り音が『きらり』と鳴る!
破砕した氷を粉雪のカーテンにし、この隙に魔物は勇者への接近を果たしていた!
短期決戦を決行すべく、強引に白兵戦に持ち込む。
凱の推測したところ、この魔物、ただ武器を振るうだけじゃない。振り下ろし、横凪ぎ、切り返し、どれをとっても一流である。
氷の魔剣と己の能力を組み合わせて奇抜な攻撃を繰り出すあたり、もし、魔物が本気で修行に励んだら、人間以上の魔剣使いになれるかもしれない。
だが――――
それは一般兵という尺度で図った場合の話である。
「魔物が魔剣をもってしても、この程度か?」
挑発気味にも聞こえる、勇者の感想。
そこの魔物には悪いが、残念ながら勇者を仕留めるには至らない。
(反撃させてもらうぜ!ヴォジャノーイ!)
せいぜい武器を振り回すだけで、凱の動きをとらえることは能わない。
素早く、冷猛なる魔剣の刃をかいくぐると、またしても凱は竜具の鞘で打ち上げるような一撃を繰り出す。
瞬閃の思考。返すアリファールの鞘。地から天へ飛翔せし銀閃の一撃。
――銀閃殺法・飛竜閃(ヴィーフリンガ―)!!
銀閃殺法。竜具が封じられた際、もしくは竜の戦闘力を有する事態に対処すべく、ヴィッサリオンが考案した竜舞。それすなわち百人の兵士が刃を繰り出してこようが、それらを払い、蹴散らし、圧倒する力を持つということ。
これが鞘ではなく刃であれば、ヴォジャノーイの半身は下から左右二つに分かたれただろう。
「――――がはぁ!!」
またしても吹き飛ばされ、苦悶の声を荒げる魔物。その沈黙を確認するや、囚われの赤子へ振り返る。
「待たせたな、コーネリアス。すぐにセシリーお母さんの所へ返してやるからな」
「だぁ♪」
にぱーっと笑うコーネリアス。防衛本能に忠実な赤子は、凱の凱らぐ安堵の声と表情故に、にこやかに笑う。やはり、子供にはひまわりのような笑顔が一番似合う。
木に結わえられた赤子の元に向かおうとする凱。
しかし――
その足はピタリと止まる。
「う〜ん、やっぱりこの姿じゃ手も足もでないや」
ふらふらと。またしてもヴォジャノーイは立ち上がった。
(魔物の耐久力を推し量ったうえでの一撃だったのに……ものと
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