第28話『命を救う為に!虚影の幻姫の戦略〜そして挑戦へ!』
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いに対してリュドミラは『できる』『できない』ではなく、『やる』の一択で通しきったのだから。
「私は何も勇気と無謀をはき違えたりしません。このエザンディスが残っていますから」
「だが、今はこの都市全体に呪術らしきものがかけられていて、竜技とやらが使えないはずだが?」
「ええ、ですから、竜具そのものに頼ることにします。エザンディスの竜技ではなく、竜具そのものを使用します」
魔剣二本装備の完全武装のヴォジャノーイの猛攻を耐え抜くのは不可能だ。幸い、エザンディスにまだ隠し武装はある。
大鎌の形状を持つエザンディスには変形機構が備わっている。その組み替え方は『立体娯楽用具』に近いらしく、大鎌の通常携帯から第六形態にまで組替可能とのことだ。
虚影――――その名のように、姿形はなく、変幻自在の存在なのだ。
さっそくヴァレンティナは布にくるまっていた竜具エザンディスを開放、鮮やかな手つき、されどほんのわずかな時間で組み替えてしまう。
「これがエザンディスの別の姿……竜の『瞳』である弓です」
竜の瞳は、あらゆる生物の魂を射抜くといわれる、見えざる魔弾。
弓といっても、それはただの弓ではない。弓の上下に滑車らしき小さな部位が見受けられ、弦……とは異なる線導らしき物体も数本確認される。
決して『弩』などではない。弓のカタチを存分に残しているあたり、弓と弩のいいとこどりをしたものがこれになるのだろう。
消音、無音、加えて鏃に細工を加えるなど、影にふさわしい暗殺道具となっている。
「ルークさんの刀と同じく、わたくしの竜具もたった一本のみ打てます。二度目はありません」
魔物の猛攻に対し、2度もつがえている暇はない。どちらにせよ、この弓の装填数はたった一本なのだ。
そして何より、決意が鈍る。
「では各々、ご武運を祈ります」
そういうと、ヴァレンティナはエザンディスの弦……元々は大鎌の柄の一部であった個所を限界まで引き絞る。狙いを定めて勝機をうかがう。
彼女のその姿はまるで、影に潜み息の根を止める暗殺者のそれであるかのようであった。
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