第28話『命を救う為に!虚影の幻姫の戦略〜そして挑戦へ!』
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閃を叩きつけた際の違和感。なにやら『ジャラジャラ』という金属がこすれあうような音も聞こえた気がした。まるで鎖帷子を仕込んでいるような――
(リムから聞いたことは本当だったのか。竜具の力を拘束する鎖があるって)
以前、銀閃の風姫エレオノーラと、 凍漣の雪姫リュドミラが「竜具の通じない金属」「竜技が効かない鎖」があると、リムが言っていたのを思い出した。
凱はかつて、独立交易都市へ所属していたとき、魔剣封じの魔剣と対峙したこともあった。セシリーによれば、当時のアリアは風の力を無くすと、うんともすんとも言わなくなったという。
対ゴルディオンハンマーの緊急停止ツール、ゴルディオンモーターもそうではあるが、やはり竜具も魔剣も、人の身には十分余る力があるのだ。そのチカラが自分自身へ向かないよう、有事に備えて何かしらの保険を備えるのは当然のことだった。
竜具の力を奪う正体が何であるか不明だが、
「この代償は高くつくよ……」
ゆらりと――静かにヴォジャノーイは立ち上がる。
今度は脇に差していた剣?サーベルを抜き、人間らしい大陸剣術の構えで凱に挑みかかる。
同時に、言いしれない脅威を感じとる。
ヴァレンティナによれば、彼ら魔物は竜具の刃を素手で受け止めるほどの強度を持っているという。魔物の四肢を振り回すだけでも十分、人間からすれば凶器になりうるのに、さらに魔物が魔剣などという常識を逸脱した武器を手にしたら――――もはや想像がつかない。
準備だけは怠らなかった。それだけは事実である。
「そいつは何の魔剣だ?」
「流石は銃。鼻が利くね。これは代理契約戦争時で発見された氷の魔剣で、どんなものも凍てつかせる便利なモノさ。ま、ちょっとした凍漣の主の気分になれる『なりきり道具』なんだよ」
余裕のある、魔物の口ぶり。
――所詮、ヴォジャノーイにとって、この戦いは余興にすぎない。
「さあ、いくよ!銃!」
ヴォジャノーイは氷の魔剣で襲い掛かる!
『おとこまさり』な、振りかざす真空の刃を!
『おしとやか』な、凍てつく冷気の刃を!
『おてんば』な、狙いすます殺気の刃を!
繰り出す見えざる刃にて勇者のお相手を務めようと、切り裂き魔な令嬢と化して押しかけてくる!
「ほら!銃!踊れ踊れ!!」
上下、左右、斜め、鋭い連撃が繰り出されるが、凱はそれを紙一重で回避し続ける。
―――カチ―――カチ――――カチ!
僅かな白い冷気が凱の頬を徐々にかすめ、勇者の熱い息を凍てつかせる。
「これならどうかな!?」
なんと、ヴォジャノーイは「フッ」と酸液の毒々しい唾を鍔に吐きつけ、直後、凱に向けて解き放った!
これぞ魔物の凍漣なる冷
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