大きな罪
終わりと始まり
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が何かと、都合がいい。
「ただいま。」
部室に戻ってくると、三人が出迎えてくれた。
「おかえり。どうだった。」
「間に合ったよ。」
「良かったな。」
「うん。」
拓真と結城が近くに来て、二人とも話していた。宏は少し離れた所にいて、私は寂しさを感じた。
「宏、どうしたの。」
私は会話の輪から外れ、宏に近づいた。
「別に、お疲れさま。」
「ありがとう。」
私がいまだに答えを出せないでいるせいで、少し距離があいた気がする。
「後輩達の様子を見てくるね。」
教室から逃げるようにして、走って出た。私はどうしたらいいのだろうか。いや、どうしたいのだろうか。
廊下を歩きながら、数ある部室の様子を見て回った。デザイン室から出発して、反対側の美術室まで行きデザイン室に戻らず、そのすぐ隣の絵画室に入った。
「やあ、晶君。」
「部長。」
藤森晶。美術部の副部長だ。ちなみに、拓真とは兄弟でも何でもないそうだ。
「大きいの、来てないですか。」
「来てないよ。」
「そうですか。」
大きいのとは、晶君の友達のことだ。彼より身長が高いので“大きいの”と呼んでいるらしい。名前は忘れてしまった。まだ片手で数えられるほどしか、会っていないからでもある。
「進んだね。」
「ありがろうございます。」
「木炭で下書きが終わったら、声かけてね。」
「はい。」
荷物を取りに、私は一度絵画室を出た。今日は、油絵をやろう。そう思ったからだ。
「やあ。今日は、絵画室にいるね。」
「わかった。」
「それじゃあね。」
手を振り、三人がいる教室を出た。そしてもう一度、絵画室に入った。
「久しぶりにやろう。」
椅子の上に道具を広げ、私は作業着に着替えた。といっても、上から着ただけなのだが。キャンバスを掛けてあるのイーゼルを引っ張り出して筆を持ち、様々な色で汚れたパレットの上にさらに絵の具を重ねた。
「部長。下書きは、これでいいですか。」
「いいね。作業するから、少し待って。」
私はフキサチーフというスプレー缶を取った。これを下書きの上から吹きかけると、その色が絵の具と混ざって濁るのを防ぐ。
「窓を開けてくれる。」
「はい。」
さてと、始めよう。私は缶の蓋を外して、キャンパスに吹き付けた。触れると糊のように手に付く感じがする。全体にかけた後、平らな所に置いて乾燥させた。
「今日は、油絵やるの。」
「今日は、いいです。」
「じゃあ、次回は使い方を教えるね。」
「はい。」
され、自分の方も進めよう。キャンバスに向き直り、色を少し加えてから片付け始めた。
「お疲れさまでした。」
「お疲れ。またね。」
晶君と別れ帰路に着いた。
次の日。私は図書館に本を返すために、部活を早退した。自転車
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