第80話『出発』
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君は負けたのだよ!」
「うっぜぇ…」
連勝して気分が良いようで、莉奈の煽りが主に晴登に突き刺さる。全く、迷惑なことこの上ない。だから早く負かしてやりたいところなのだが、どうも上手くいかないのが現状だ。
「あ、今結月ジョーカー引いたでしょ」
「え、何でわかったの?!」
「すごい顔に出てるよ」
一方、先程から連敗を続けているのが、表情筋ユルユルな結月だ。大体最後の一騎打ちで負けている。ルールを覚えたてではあるが、そろそろポーカーフェイスを身につけるべきだ。
「やった、上がり!」
「取られちゃったか〜。これであと3人だな」
狐太郎が上がったため、残るは晴登と大地と結月。次は晴登が大地のカードを取る番だ。ゲームももう終盤なため、お互いの手札も残り少ない。一手一手が命取りである。
「さぁ来い晴登」
「なら、これでどうだ!」
晴登は思い切りカードを引いた。そこに書かれていたのはスペードの4。残念ながら、手元にペアは見つからない。
「うげぇ…」
「残念だったな晴登。それじゃあ俺の番だな・・・お、来た、上がり!」
「嘘だろ…」
大地も上がってしまい、これで晴登と結月は一騎打ち。現在の手札は合わせて5枚。1ペアでも揃えば、あの地獄の2択が始まる。
「じゃあ引くよ・・・よし、同じ!」
「ならここからが正念場だな」
結月がペアを引き当て、残り3枚。晴登の手元にはクローバーのエースがあるので、結月がジョーカーとエースを持っていることになる。
さて、これからが本当のババ抜きというものだ。50%の確率に全てを賭ける、ハラハラドキドキの瞬間である。
「…それじゃあハルト、選んで」
結月は2つの手札を差し出してきた。どちらも裏から見れば大差のない、ただのカードである。しかしどちらかが天国で、どちらかが地獄への切符なのだ。
「どっちだ…」
右か左か、どちらを引くべきか晴登は迷う。勝つ確率が5割とはいえ、ババ抜きに至ってはその確率は正しくないように思える。不思議な話だ。
「あ」
しかし、ふと結月の顔を窺った晴登はあることに気づいた。
右のカードに手を置くと彼女は安心したような表情をするのに対し、左のカードに手を置いた時は表情が明らかに曇ったのだ。
やれやれ、まだまだポーカーフェイスが足りないな。それでは、当分ババ抜きを勝ち上がることはできまい。
「じゃあこっち引いて・・・はい、上がり!」
「えぇ、何でわかったの!?」
「やっぱり無自覚かぁ」
一瞬、わざと表情を変えて嵌めてくる可能性も頭を過ぎったが、やはり結月は単純である。これで彼女はさらに連
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