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非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第80話『出発』
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なぁ…」

「あ、やっぱり僕が座ってるから──」

「いやいやそうじゃないよ! どちらかと言うと、たぶん俺の方…」


狐太郎といえば、その端正な顔立ちや愛らしいルックスで、女子から絶大な人気を誇っている。そんな彼と隣同士に座りたかった女子も少なくないだろう。そんな中、晴登がその座を横取りしているのだから、視線が多少は冷たくなるのは無理もない。許して欲しい。


「それにしても、柊君とこんな風に一緒に居るのって初めてだよね?」

「そうだね。僕と違って、三浦君はたくさん友達居るから」

「さっきから何でそんなに卑屈なの!? 柊君だってみんなに人気だよ?」

「でも・・・」


自分に自信が無いのか、やたらと狐太郎はネガティブだ。やはり、人と違う容姿に少なからず負い目を感じているのだろう。何度も説得してきたが、それで拭い去れるものではないようだ。


「大丈夫、クラスのみんなは柊君のことを変に思ったりしないよ。体育祭だって、みんなで乗り越えたじゃないか」

「う、うん」

「無責任かもしれないけど、俺たちを信じて欲しい」


言ったそばから、顔が熱くなるのを感じる。こんなかっこつけたセリフを言うなんて、柄じゃないのに。
それでも、少しは彼の力になりたかった。


「はぁ…やっぱり三浦君はすごいね。僕の悩みをあっさりと風の様にどこかに吹き飛ばしてくれるんだから」

「え、そ、そうかな」

「そうだよ。尊敬するなぁ」


狐太郎は晴登の方に向き直り、眩しいくらいの笑顔で言った。そのつぶらでまっすぐな瞳に、つい晴登は目を逸らしてしまう。
なぜだろう。狐太郎は男の子のはずなのに、なぜかドキッとしてしまった。男の子のはずなのに。


「いや、俺にそんな趣味は無い…!」

「どうしたの?」

「何でもない! こっちの話。それより、何かゲームでもしない? しりとりとか」

「いいね! 僕、友達とそうやって遊ぶの夢だったんだ」

「あっ……」


晴登が華麗に地雷を踏み抜いた頃、バスは目的地に向けて出発したのであった。






「はい、1抜け〜!」

「うお、マジか。またかよ。強いな莉奈ちゃん」

「いやいやそれほどでも〜。今日はツイてますな〜」


バスが出発して早2時間。今は晴登と狐太郎、後ろの席に座っている莉奈と結月、そして通路を挟んだ席に座っている大地の5人でババ抜きをしている。やはり、バスの中で遊ぶといったらこれだろう。
ちなみに、今しがた莉奈が3連勝したところだ。


「おやおや、晴登君はまだ上がらないのですか〜?」

「気が散るから話しかけるな。ちょっと運が良かったからって」

「はっはっは。運だけの女に
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