第二章
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「内装もな」
「出来るだけですね」
「節約だ、質素を極める」
「何かそう言われますと」
妻は夫の言葉を聞いてどうかという顔で述べた。
「日本の皇室ですね」
「連合のあの」
「はい、質素を極めるとなると」
「あの家は実は献上品が多い」
子爵はエウロパで言われていることをそのまま話した。
「それも連合各国からな」
「日本だけでなく」
「もう衣食住全てのものがだ」
「献上品ですか」
「それに資産は実は」
こちらはというと。
「連合でも屈指だ」
「そうなのですか」
「国宝や文化遺産、世界遺産級のものを数えきれないだけ持っているのだ」
このことは事実である。
「だからな」
「その実はですね」
「途方もない資産を持っている」
「そうした家ですね」
「そうだ、質素であってもな」
「当家とはですね」
「違う、伝統で質素であるのと貧しくて質素であるのは違う」
子爵は言い切った。
「だからな」
「それで、ですね」
「比較にならない」
それこそというのだ。
「当家は本当に貧しい、領地全体がな」
「だからこそですね」
「質素に徹する、子爵家の格式は守っても」
「お金がないことは事実で」
「節約に節約を重ねる、リサイクルも徹底させて出費もだ」
これもというのだ。
「抑えていく」
「では食べものも」
「それこそ蕪の葉や牛の骨までだ」
「使うのですね」
「葉も食べられるし骨はスープに使える」
そのだしになるというのだ。
「だからだ」
「何でもですね」
「端まで使う、卵の殻もな」
こちらはというと。
「肥料に使ってだ」
「とにかくですね」
「無駄はな」
「徹底して省く」
「そうしていく」
こう言って実際にだった、子爵は家の者達に節約を徹底的に教え込み自分達も実践していった。経理の者にも歳入と支出の管理を厳格にさせた。
だがその中で家の使用人達はこう話していた。
「今日もおやついいわね」
「イギリス風の豪奢なティーセットで」
「お茶の葉の質もいいわ」
「コーヒー豆も上等なもので」
「ケーキもシュークリームも特製で」
屋敷のパティシェが作ったものだ。
「食材もいいし」
「贅沢よね」
「本当にね」
メイド達はおやつの時間にこう話していた。
「お昼ご飯も晩ご飯も」
「いつも美味しくて」
「しかも量も多い」
「凄いわよね」
「私達のお食事って」
「着ている服だって」
今度はメイド服の話だった、今自分達が着ている。
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