第一章
[2]次話
森の城
妖精達の王であるオベローンと王妃のティターニャは時々夫婦喧嘩をする、ある時は若い人間の男女達も巻き込み大変なことになった。
そして今も夫婦喧嘩をしていた、喧嘩の理由は些細なものだった。
オベローンは妻のティターニャに苦い顔で言った、二人共身体は人間と比べて小さいがオベローンの背中の揚羽蝶の羽根とティターニャの蜻蛉の羽根以外は若い王子と王女の様だ。顔立ちは整いオベローンの黒髪と黒い瞳、ティターニャのブロンドの髪と緑の瞳も美しい。服もまさに中世の王子と王女である。
だがオベローンは妻に言うのだった。
「だから今度の旅行先はだ」
「海というのね」
「そうだ、そこに行くべきだ」
同じテーブルに着いている妻に強い声で告げた。
「やはりな」
「いえ、山にすべきよ」
ティターニャもティターニャでこう返した。
「今回は」
「何故山だ」
「今の季節の山はとても素敵だからよ」
ティターニャはすぐにその理由を答えた。
「理由は他にはないわ」
「何を言う、この季節の海はだ」
オベローンもオベローンで反論する。
「これ以上はなく素晴らしい」
「だから海がいいというのね」
「そうだ、何があっても海だ」
「山がいいわ」
「いいや、海だ」
「山にすべきよ」
二人であくまで言い合う、そんな二人を見てだった。
彼等に使える妖精達はやれやれとなった、それで今回の喧嘩はどうして収めるべきなのかという話をした。
「さて、どうしたものか」
「いつものことにしても」
「何とか仲直りをしてもらわないと」
「また何か大騒動になるかも知れないからな」
「早く何とかしよう」
「今のうちに」
こう言い合ってそしてだった。
彼等は今回はどうして収めるべきかと話した、その中で。
二人に仕える妖精達の一人であるパックが言った。
「もう海か山じゃなくて」
「他の場所か」
「他の場所にかい」
「そう、そこに行ってもらったらどうかな」
こう言うのだった。
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