第二章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「マントヴァ公は出番も多い」
「リゴレットのもう一人の主役と言っていい位にな」
タイトルロールのリゴレットと対比する立場としてだ、とかくリゴレットとそうした立場として描かれているのだ。
「最初から素晴らしいものを聴かせてもらったが」
「この調子が最後まで続くか」
「特に第四幕の女心の歌まで」
「そこまで続けば本物だが」
「果たしてどうだ」
「そこまでの歌手か」
「噂ではそうだが」
海外でのそれはというのだ、つまり本場の。
「日本の我々にもそれを見せてくれるか」
「一体どうだ」
「パヴァロッティはどうだ」
「やってみせてくれるか」
彼等はこのことに期待を見せた、すると。
パヴァロッティは第二幕も第三幕も特に第三幕の『頬を伝う涙』でも名唱を見せた。まさに絶好調であり。
「噂以上の技量だな」
「美声も凄いぞ」
「しかも体力もある」
「体格に恵まれているだけにな」
「疲れ知らずという感じだ」
「高音を何も苦もなく出している」
「こうなるとな」
「これはな」
いよいよという声でだ、彼等は第四幕問題のそれが開く前に話した。
「楽しみだな」
「女心の歌も」
「いよいよはじまるが」
「どうなる」
「一体どれだけ素晴らしい歌を聴かせてくれる」
「マントヴァ公最高の聴かせどころだが」
「リゴレット自体でもそのうちの一つだが」
それだけに期待の場だがというのだ。
「この調子だと期待出来るぞ」
「素晴らしい歌を聴かせてもらえるぞ」
「幕が開くのが今から楽しみだ」
「全くだ」
「早く時間になって欲しい」
「第四幕がはじまって欲しい」
「パヴァロッティの女心の歌を聴かせてくれ」
「是非共」
「これからな」
「そうさせてくれ」
劇場にいる誰もがその歌を今か今かと待った、そして最後の幕が上がり。
パヴァロッティが女心を歌う時が来た、ラフな衣装を着た彼は軽快な調子でその歌を歌う、だがその前から。
観客達は静まり返り歌を待っていた、そして彼が歌うその間。
ただ耳と目に全神経を集中させて舞台を観てだった。
歌が終わった時これ以上はないまでの拍手と歓声を贈った。
「噂通りだ！」
「いや噂以上だ！」
「これがパヴァロッティか！」
「パヴァロッティの高音か！」
「見事だ！」
「ハイシーだけじゃない！」
「歌声も素晴らしい！」
誰もが拍手と歓声の中で口々に言った。
「技量も見事だ」
「これは確実に凄い歌手になるぞ」
「今の時点で相当だがまだまだこれからだ」
「これからの歌手だ」
「これは素晴らしいぞ」
「この女心の歌は歴史に残るぞ」
「日本の歌劇の歴史に」
それだけのものだというのだ。
「素晴らしい歌だった」
「私はこの舞台を忘れないぞ」
「私も
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ﾍﾟｰｼﾞ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿ｻｲﾄ〜
利用規約/ﾌﾟﾗｲﾊﾞｼｰﾎﾟﾘｼｰ
利用ﾏﾆｭｱﾙ/ﾍﾙﾌﾟ/ｶﾞｲﾄﾞﾗｲﾝ
お問い合わせ
2024 肥前のﾎﾟﾁ
しおりを解除