第一章
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外道の言い掛かり
鈴木隆則はこの時家で家族に怒って言っていた。がっしりとした体格で顔も頬がふっくらとしている。背は一七一位だ。目は垂れ目だ。
「酷い奴だろ」
「あの人は昔からそうだよ」
妻の梓が夫の言葉に応えた。恰幅のいい中年女性で顔も鼻も丸い。背は一五六程だ。
「自分勝手でね」
「ああ、ちょっと気に入らないとな」
「自分より弱い相手にはそうだよ」
「それでな」
夫は妻にさらに話した。
「今日拾ってきたな」
「その子もなのね」
「ああ、可愛くないからってな」
苦い顔での言葉だった。
「捨てていてな」
「それをあんたが見付けて」
「怒ったんだ、犬を捨てるなんて何だってな」
「そうしたら欲しければあげるだったのね」
「そうだ、酷いだろ」
「あの人らしいよ」
妻も苦い顔で言った。
「本当に」
「全くだ、しかしな」
「うちはなのね」
「ああ、折角引き取ったんだ」
ここで彼は自分が傍に置いている犬を見た、背中が茶色の秋田犬の子犬である。まだ生まれて間もないであろうその犬を見て言うのだった。
「それじゃあな」
「その子をね」
「育てるからな」
そうするというのだ。
「いいな」
「これからだね」
「ああ、間違ってもいじめたり捨てるか」
「あの人みたいなことはしないね」
「絶対にな、あんな奴だから昔から嫌われてるんだ」
「この村で辻元家っていったらね」
それこそとだ、妻は困った顔で話した。
「昔からだよ」
「村一番の鼻つまみ者だったな」
「それで今の旦那さんときたら」
「三人兄弟の長男でな」
「一番どうしようもない人だったからね」
「ああ、そんな奴だからな」
「子犬をいじめて蹴飛ばして」
そしてというのだ。
「捨てようとしていたんだね」
「全く命を何だって思ってるんだ」
「自分しかない奴なんだ」
「次男も三男も悪いことして警察に捕まってね」
「女の子に悪戯してな」
その結果だというのだ。
「それで今は刑務所でな」
「親父さんも親父さんでね」
「町に出た時にかっぱらいしてな」
「そんなのでね」
「その屑共の中であの長男は最悪だ」
「全くだね、どうせそのうち悪いことして捕まるだろうけれど」
「あんな屑のところに犬を置けるか、この子もどうやらな」
今は寝ているその犬を見つつ話す。
「いいブリーダーから貰って一儲けするつもりでな」
「それがだね」
「可愛くないからってな」
「そんなことでだね」
それこそというのだ。
「捨てるとかね」
「折角貰ったのにそれだ」
「馬鹿な話だよ」
「馬鹿で自分勝手な奴だ」
「本当にそうだね」
「けれどうちは違うからな」
「ちゃんと育てるね」
「ああ、何があ
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