第11話 協定違反
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「ハイヤッ!」
「ボーゼス!急ぎすぎだ!後続が落伍しているぞ!」
薔薇騎士団が全速力で馬を走らせイタリカに向かっていた。
先頭の騎士達のあまりの速さに土煙が舞い上がり、後方の歩兵達が置いてけぼりを食らう。
「まだ遅い!ピニャ殿下が私達を待っておられるのよ!!」
そう言い放つ薔薇騎士団副団長ボーゼスだったが―
「パナシュ……私達、間に合うかしら」
ボーゼスが不安に負けてつい呟く。
「姫様なら保たせるさ……きっとな」
ショッカーの占領下に置かれたイタリカには地球儀を鷲掴みにする鷲の旗が翻り、ショッカーの戦闘員を乗せた装甲車が次々と入城した。市民達は盗賊達を追い払ったショッカーの軍勢を複雑そうな顔で見つめる。
当初、帝国の物流に打撃を与える目的で占領する予定だったイタリカだが文明レベルが判明してくるにつれて財団Xやノバショッカーなどの企業や財務省などが『物流を抑える』という占領目的が見直すように要請し、新たな占領目的に置き換わっていった。その新たな占領目的とは―
翼龍の鱗をカトー師匠の知り合いの商人リュドーに売り終えたレレイ達と入れ替わるように白服の男が2人、リュドーの商談部屋に入る。
「突然ですみません、リュドーさんはいますか?」
レレイが売って行った翼龍の鱗を眺めるリュドーに男達が話しかける。
「リュドーは私のことですが……失礼ですが貴方達は何者ですか?」
「申し遅れました。私共はこういう者です」
そう言うと異世界語で書かれた名刺を取り出して商人に手渡す。
「財団X?どういった団体ですか?」
「なんと言いますか…ショッカーの商人ギルドのような物とお考えください」
ショッカーと聞いて動きが止まる。ショッカーといえばイタリカに攻めてきた盗賊団を返り討ちにし、イタリカを占領している異界の軍勢。その商業ギルドがわざわざ自分のところに来たのだ。只事ではないと腹を括った。
「で…その商人ギルドが私に何の用ですかな?」
「私共としましては衣類や食料、生活用品をイタリカを通じて帝国の商人に流そうと考えています。これらはその輸出品の種類と価格が載った目録です」
予想外だった。てっきり商人としての家業を畳まされイタリカから追放されるのかと思っていたからだ。
ショッカーが何故、敵であるはずの帝国に自国の商品を輸出したがるのかは分からないが商談と聞いて応じることにする。
しかしショッカーには協定で得た関税を含むありとあらゆる免税特権がある。普通に考えて関税が無ければショッカーの輸出品は高く買われ、イタリカ側の商品を安く買
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