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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第29話:三つ巴の争奪戦・その1
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が迫り、響と了子にも何人か襲い掛かっていた。

 その周辺では突如出現したノイズをメイジが相手にし、更には今日は再びネフシュタンの鎧を纏ったクリスが、了子の持つケースに向かおうとして途中にいた邪魔なメイジに鎖鞭を振るっていた。縦横無尽に振るわれる鎖鞭に、メイジはかなりの苦戦を強いられている様子だ。

 それを横目で見て、颯人は確信する。あの透と言う少年とジェネシスは仲間ではない。何らかの理由で、透はジェネシスから離反したのだ。
 とは言え、その事が分かったところでどうしたものか。

 ジェネシスとは関係ないとは言え、透とクリスは何者かの指示を受けて響を連れ去ろうとし颯人に害を加えようとした。その事に変わりはない。

──あ〜、くそ。面倒臭い事になっちまったなぁ──

 事態が複雑化したことに颯人が仮面の奥で顔を顰めている頃、上空のヘリから様子を見ていた弦十郎は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。

 4人がメイジに包囲された時は、思い切って救援に向かおうと思っていたのだがその直前にノイズが現れたのだ。流石にノイズの相手は弦十郎にはできない。あの乱戦の最中、無策で突っ込んでノイズに灰にされてはそれこそ本末転倒だ。

「くそっ!? 見ているだけで何も出来んとは――――!?」

 弦十郎は、何もできない現状に自身の無力さを感じていた。

 だが――――――

「暇そうにしてんなぁ、おっさん?」
「むッ!?」

 出し抜けに、ヘリの中に第三者の声が響く。

 聞いたこともない男性の声に、弦十郎が弾かれるようにそちらを見ると一体何時からそこに居たのか、1人の男が椅子に座りながら弦十郎の事を眺めていた。
 その顔には獰猛な笑みが浮かんでいる。

 一瞬で最大限の警戒心を男に向け、弦十郎は身構えた。

「誰だ君はッ!? どうやって、いや、何時の間にそこにッ!?」

 そうは言うが、弦十郎には相手の正体がある程度分かっていた。飛行中のヘリの中に気付かれずに潜り込む事が出来るようなものなど、魔法使い以外にあり得ない。

 それを証明するように、男――ジェネシスの幹部の1人であるヒュドラは、腰のバックルに特徴的な指輪を嵌めた右手を翳した。

〈ドライバーオン、ナーウ〉
「俺は、ヒュドラってんだ…………魔法使いさ!」
〈シャバドゥビタッチ、ヘンシーン!〉
「変身!」
〈チェンジ、ナーウ〉

 身構える弦十郎の前で、ヒュドラは悠々と赤茶色の仮面のメイジに変身した。

 三つ巴の様相を呈した地上どころか、上空でも混迷を極めつつある状況。戦いにまだ終わる気配は見えなかった。
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