暁 〜小説投稿サイト〜
勿忘草-ワスレナグサ-
大きな罪
被害者
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かい。」
 彼が差し出したのは、B5版の黒いノートだった。それは確かに、私の使っている手帳だった。
「ありがとう。どうしてこれだって、わかったの。」
「玲って持ち物には名前じゃなくて、サインとかペンネームを書くよね。」
「そういえばそうだった。よく見てるね。」
 私は宏が持ってきた手帳を受け取り、パソコンに戻った。まずは急いで終わらせなければいけないのと、そうでないもの。至急の依頼の中から、早く終わらせられるものと、時間が必要なものとを分ける。こういう作業はなれているせいか、そこまで時間はかからなかった。
「そういえば、帰らないの。」
「大丈夫。連絡はしておいた。」
「そう。」
 いつ連絡したのだろうか。そんなことよりも、頭を働かさないと。
 カタカタカタ
 部屋には、キーボードの音とそれぞれの呼吸する音だけ響いていた。
「ふう。終わった。」
 作業を始めてから、約二時間。溜まっていた依頼は、全て完遂させることが出来た。
「お疲れさま、玲。」
 そう言って彼は、コーヒーを差し出した。
「ありがとう。」
「それにしても、大変だね。」
「そうかな。」
「携帯は常に鳴ってるし、サイトの書き込みは絶えないようだし。」
「もう慣れたよ。はじめの頃は、慌てたけどね。」
 私はそういって、苦笑いした。確かに宏の言う通り、この仕事は大変だ。だけど、誰かが私を必要としてくれている。それだけで、私は頑張れる。
「玲、携帯が鳴ってるよ。」
 考え事をしていたせいで、聞こえていなかった。
「ありがとう。」
 携帯を取って開くと、また不明なアドレスからだった。嫌な予感がした。
「ニュースをご覧になりましたか、式川春さん。いや、柏木玲さんかな。」
 何故、私の名前を知っているのだろう。すると、もう一通メールが届いた。
「なせ、君の名前を知っているか。」
 メールの始まりはそうだった。心理を読まれている。私は次の文に目を向けた。
「それは、これから出す謎に答えられたら、教えるか考えよう。」
 交換条件か。こちらが呑まなくても、あちらは拒否させないだろう。仕方ないから、条件を呑むしかないのだろう。
「わかりました。条件を呑みましょう。」
 返信をすると、またメールが来た。
「では、問題だ。」
 私は知らないうちに、緊張していた。おそらく、とんでもないものがくる。
「ライオン、犬、狼、熊、狐、豚、山羊。これらの対になる動物を答えよ。」
 一瞬、理解が出来なかった。対になる動物とは、一体なんなのだろう。私には、まったく想像が出来なかった。まだ続きがあるようなので、読み進めた。
「期限は一週間だ。それ以後になると、このアドレスは通じなくする。そして、チャンスは一回のみ。」
 厳しいな。答えにつながるようなことは、教えて
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