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勿忘草-ワスレナグサ-
大きな罪
依頼
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から、違うよ。」って叫んだ。その声は部室内に響いて、視線を集めた。注目されるのが苦手な玲は、恥ずかしさあまり部室から逃走した。
「宏、追いかけろ。玲は、四階の階段に向かったはずだ。」
「何で分かるんだ、結城。」
「昔から何かあると、階段の人が来ない所で丸くなっていた。」
「わかった。行ってくるよ。」
「頼んだぞ。」
 走り去っていく宏の背中を見送り、残った二人は互いを見ると笑った。
「二人は、幸せ者だな。拓真。」
「そうだな。互いに相思相愛のようだし。」
 二人の会話と笑い声が、部室にこだましていた。
 その頃の玲は結城の予想通り、人のいない四階の階段で膝を抱えていた。
「拓真のバカ。違うのに。」
 通路に彼女の発した言葉が反響する。
「何が違うの。」
 突然の問いかけに驚いた玲は、後ろに飛び退いた。顔を上げるとそこには、宏が不思議そうな顔をして立っていた。
「驚かさないでよ、宏。」
「ごめん。」
 玲は不機嫌になってしまったようだ。
「とりあえず、行こうか。」
 玲は小さく頷き、僕が差し出した手を握った。
「ありがとう。」
 二人は並んで戻ったが、以前よりも確実に互いの距離は縮まっていた。
「今日は早く、帰ったほうが良いんじゃないのか。」
「そうだったね。荷物を取りに行ってから、帰ろうか。」
「そうだな。」
 扉を開けて中に入り自分達の荷物を取って、部室に残っていた二人に別れを告げ帰路に着いた。だがいまだにどこに向かうのかは、知らされていない。目的地に着くまで二人は無言で過ごしたが、不思議と気まずくはなかった。マンションの一室に着くと、玲がドアの鍵を外して中に入った。僕も続いて中に入っていくと、生活空間というよりも仕事部屋という印象を受けた。後ろでドアが閉まる音がして、振り向くと先に入ったはずの玲がいた。
「ここは、私の家。と言っても、仕事場だけど。いつもは、実家にいるの。」
 彼女が僕の前を通り過ぎて、窓へと近づいた。心地いい風が入ってきて、玲の長い髪を揺らした。との姿に少しどきっとしてしまい、目をそらした。
「さてと、仕事を始めようかな。宏、手伝ってくれないかな。」
 呼ばれて振り返ると玲の顔が近くにあり、自分の顔が紅潮するのが分かった。
「どうしたの、熱でもあるの。」
 僕のおでこに玲のひんやりとした手をあてて、さらには彼女の額をつけてきた。宏はますます紅くなり、身体まで熱くなっていた。
「やっぱり、熱いね。今日は帰ってもいいよ。来てもらったのに、ごめんね。」
「熱じゃないから、大丈夫だよ。心配しなくても平気だから。」
「そう。ならいいけど。」
 少し妙だと言うようにして、玲はパソコンの電源を点けた。パソコンの起動には、少しばかり時間がいるようだ。
「飲み物、何がいい。」
「あ
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