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怖がりの猫
第二章
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「私のところかお父さんとお母さんの部屋に来て」
「枕元で寝るのよね」
「丸くなってね、寝る時も一緒だから」
「本当に寂しがり屋よね」
「帰ったら絶対に玄関まで迎えに来るし」 
 これは家族の誰でもだ。
「学校に行く時は玄関まで送ってくれて」
「凄く寂しそうにね」
「そうよね」
「ビビは本当に寂しがりだな」
 父はそのビビを撫でて笑顔で言った。
「怖がりでな」
「そうそう、この前雷鳴ったら」
 美香は今度はこちらの話をした。
「私の部屋にいたけれど驚いてね」
「それでどうなったんだ?」
「私のベッドの下に潜り込んでガタガタ震えていたのよ」
「そんなに怖かったんだな」
「本当に怖がりだから、この娘」
 美香はそのビビを見て笑って話した。
「家族いないとどうなるかしら」
「ビビ、大丈夫だからな」
 父はそんなビビを優しく撫でて声をかけた。
「家族は皆お前をいじめたりしないからな」
「というか甘やかしてるるわね」 
 母は笑ってこう言った。
「怖い思いも寂しい思いもさせない様に」
「そうしてるな」
「ニャア」
 ここでビビは鳴いた、まるで家族に応えるかの様に。それで父が風呂に入るまでずっと彼と共にいて父が風呂場に向かうと自分の部屋で勉強をしようと席を立った真理についていって勉強している彼女の足元にずっといた。
 とにかくビビはいつも家族と一緒にいた、そして。
 そんな中でだ、ふと。
 ある夜一家でテレビで映画を観ている時に急に停電になった、すると。
「ニャッ!?」
「ビビ?」
「どうしたの?」
 両親がビビの声に反応した、だが。
 真っ暗になったので迂闊に動けない、それで父は家族に言った。
「今は動かないでおこう」
「停電が終わるまでは?」
「ああ、迂闊に動いたらものにぶつかるし」
 美香の声に応えて話した。
「ビビを踏んだりするしな」
「だからなのね」
「今は動かないでいよう」
 こう言うのだった。
「そうしよう」
「それじゃあね」
「じっとしていこう」
 父がこう言うと妻も娘もだった。
 実際に動かなかった、そして少し時間が経ち。
 灯りが点いた、テレビも映画が再開したが。
 ビビの姿は見えない、それで美香は周りを見回しつつ言った。
「あれっ、ビビは」
「いないわね」
 母も周りを見回しつつ言った。
「何処にも」
「そうよね」
「いや、いたぞ」
 ここで父が言った、見れば。
 ビビは一家が囲んでいるガラスの卓の下にいた、そこで小さくなってガタガタと震えていた。そのビビを見てだった。
 美香は笑ってこう言った。
「またなのね」
「ええ、怖くなってね」
 母も笑って言った。
「安全な場所に逃げ込んで」
「震えていたのね」
「それも家族
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