第四章
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「その後で家が完全に崩れて」
「それじゃあ」
「いえ、私の家も壊れて」
見れば村田さんの家の方も倒壊していた、本当に周りは壊れた家ばかりでまるで廃墟の様になっている。
「一家で出て来てそれで」
「そちらの方は」
「家族皆無事です、猫のミケちゃんも」
飼い猫もというのだ。
「大丈夫ですけれどペペちゃんも」
「そうですか」
「その崩れたお家から出て来て」
それでというのだ。
「名前を呼んで泣き叫んでいる真理ちゃんと抱き合っていました」
「助かったんですか」
「はい、ただペペちゃんも怪我をしていて」
「だからですか」
「病院にいます、獣医さんに連れて行かれました」
「そうでしたか」
「それで真理ちゃんは病院に行きました」
娘の方はそちらだというのだ。
「そこに行ってです」
「それで、ですね」
「どちらの子も無事ですよ」
「それは何よりです」
両親も弟達もここまで聞いてほっとした、そして。
娘と犬のところに行くと実際に無事だった、色々擦り傷や打棒はあって消毒等の手当ては必要であったがそれでもだった。
娘も犬も無事で家族は安堵した。それからは。
家族は暫く避難先で暮らしていたが家は震災補償で再建され街も日常が戻った、犠牲者もいたが日常には戻れた。
そしてその中で。
真理とペペの仲は変わっていなかった、確かにペペは彼女を助けたが。
「行って来るね」
「・・・・・・・・・」
「本当に私には挨拶しないわね」
尻尾をぱた、と振るだけであった。そして。
他の家族には愛想がいい、それで真理は言うのだった。
「家に滅多に帰って来ないお兄ちゃんにまで愛想いいのね」
「そうだな」
父はその娘に笑って返した。
「相変わらずだな」
「本当にね、けれどね」
「それでもか」
「顔見たら行って来いだから」
態度は不愛想なままだがというのだ。
「それでもね」
「顔では挨拶するんだな」
「うん、まあそれならね」
真理は父に言った。
「あたしはいいわ」
「そうなんだな」
「そう、だからね」
「これからもペペとそうしていくか」
「あたしも不愛想だし」
真理は自分のことについても言った。
「ならお互い様だし」
「それでいいか」
「いいわ、じゃあね」
真理は父にさらに言った。
「これからもね」
「ペペとかは」
「そうした付き合いしていくから」
「そうするんだな」
「そうしていくわ」
こう言ってだった、実際に真理はペペとはお互い不愛想なままの付き合いを続けた。確かに態度は素っ気ないが。
表情では行って来るな、行ってらっしゃい、只今、おう帰ったなという表情のやり取りはした。そして散歩やご飯をやることもしていた。そんな関係だが真理もペペも悪い顔はしな
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