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レーヴァティン
第百五十話 北進その十二

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「出て来なかったのかな」
「そうみたいだな」
「そしてそれがね」
「出るのが遅れてな」
「今みたいに湖と陸から攻撃される」
「そうした事態になってるな、あの鎖は厄介だったけれどな」
 それでもとだ、久志は言った。
「なくなってな」
「楽になっただけじゃなくて」
「敵の艦隊が来てな」
「これは結果論になるけれど」
「敵の艦隊も叩けてな」
「余計に楽になるね」
「っていうかな」
 久志はここでこうも言った。
「敵さん艦隊はな」
「出さずにだね」
「温存しておいたらな」
「よかったね」
「ああ、けれどここで出してな」
「かえって艦隊を減らして」
 そうなってというのだ。
「あちらさんに悪い結果になるなな」
「そうだね」
「ああ、それじゃあな」
「ここはだね」
「叩かせてもらうな」
 敵の艦隊、彼等をというのだ。
「是非な」
「そうするね」
「このままな」
 こう言ってだった、久志は湖と自ら出撃してきたその敵艦隊を攻撃させた、そして彼等がその数を大きく減らし。
 退いたのを見て笑みを浮かべた。
「よし、これでな」
「湖峡は僕達のものになったね」
「ああ、後はな」
「街の北のね」
「城壁を攻撃してな」
 そうしてとだ、ここでも剛に話した。
「壊してな」
「それからだね」
「使者を送るな、これで降ったら」
「ビザンチウムが僕達のものになって」
「それでな」
 そのうえでというのだ。
「黒湖の方も」
「僕達のものになるね」
「ああ、じゃあな」
「それならだな」
「ここはね」
 まさにというのだ。
「湖峡に艦隊を入れるな」
「そうしようね」
 剛も頷いた、そうしてだった。
 久志は自分達の港に退いていく敵艦隊を見て確かな笑みを浮かべた、夕暮れの中のビザンチウムはまるでこの戦いの結末を見せているかの様であった。


第百五十話   完


               2020・2・15
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