第四章
[8]前話
「俺は顔も確かに見るけれどな」
「性格か」
「そちらか」
「ああ、そちらの方が大事なんだよ」
それこそというのだ。
「だからな」
「別れたんだな」
「その場で」
「正直後悔してるさ」
「逃がした魚は大きい、じゃないよな」
「この話の流れだと」
「あんな女と付き合ってだよ」
これが登志夫の返事だった。
「後悔してるんだよ」
「そういうことだな」
「やっぱりそうだな」
「ああ、性格がいいとか言ったこともな」
有里子の本性を知らなかったとはいえとだ、登志夫は言葉の中にこの言葉も入れつつそうして話した。
「後悔してるさ」
「だよな、本当にな」
「人間性格だしな」
「顔だけだとな」
「正直駄目だな」
「別れて何だ」
それこそというのだ。
「本当にな」
「それこそだよな」
「もうな」
「ああ、何でもないさ」
それこそというのだ。
「俺はあんな女のことはどうでもいいさ、それよりもな」
「猫ちゃんだな」
「二匹に増えたからか」
「ああ、だからな」
それでというのだ。
「今は二匹の世話をしてな」
「楽しいか」
「そうなんだな」
「凄くな、今日も帰ったらな」
それこそと言うのだった。
「虎之介にナイトの世話もな」
「してくか」
「そうするんだな」
「ああ、そっちの方がずっと大事だよ」
こう言ってだった、登志夫は大学の講義が終わってアルバイトに出て自宅に帰ると虎之介そしてナイトの世話をして彼等と遊んだ、その中で。
有里子の話を聞いた、有里子は読者モデルの後輩の娘に嫉妬し犯罪そのもののいじめをしていたことがばれてインスタも事務所も大炎上し読者モデルも大学も辞め家も追い出され行方知れずとなったという。登志夫はその話を聞いてそうかと言ってだった。
あらためて寅之介とナイトと遊んだ、ナイトは今ではすっかり彼に懐いていた。
顔だけの女 完
2020・4・21
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